自動化に適した下水中新型コロナウイルス高感度検出技術開発 AdvanSentinel社と塩野義製薬

 AdvanSentinel社と塩野義製薬は6日、北島正章北海道大学大学院工学研究院准教授との共同研究で、ほぼ全工程自動化が可能な下水中の新型コロナウイルスRNAの高感度検出技術(正式名称:COPMAN法)を開発したと発表した。
 下水疫学調査は、不顕性感染者や軽症者も含めた集団レベルでの新型コロナウイルス感染症(COVID-19」)の感染状況を効率よく把握する手法として活用されており、塩野義製薬と北海道大学は2020年10月より下水疫学調査の実用化に向けた共同研究を実施している。
 日本では、欧米諸国と比べて人口あたりの感染者数が少なかったことから、下水中の新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)濃度が比較的低く、海外で使われる従来の検出法では感度が不足し定量的な解析が困難であった。
 共同研究チームは、国内における下水疫学調査の社会実装のためには下水中のウイルスを高感度に検出できる手法の開発が必須との共通認識のもと、普及に適した高感度検出手法であるEPISENS-S法を開発した。
 さらに、全国レベルでの社会実装を実現する上で必要となる大量検体の分析が可能な自動解析体制の構築にも取り組んでおり、今回、自動化に適した高感度検出技術であるCOPMAN法(COagulation and Proteolysis method using MAgnetic beads for detection of Nucleic acids in wastewater法)の開発に成功した。
 同研究成果は、2022年9月23日付でScience of the Total Environment誌(環境科学の専門誌)にオンライン掲載されている。
 COPMAN法は、下水からのウイルス濃縮工程において凝集剤を使用することで迅速かつ安定的なウイルス回収を実現しており、SARS-CoV-2に限らず幅広いウイルス種に対して有効な検出法であると考えられる。
 COPMAN法をヒューマノイド型ロボットで実行することにより大量検体の分析が可能になるため、本技術の普及により下水疫学調査の社会実装がさらに加速することが期待される。
 AdvanSentinel社と塩野義製薬は、北海道大学と共同で、より正確な感染状況の把握に貢献する下水疫学調査の技術開発と分析実施体制の構築に取り組んでいる。先ずは喫緊の課題である変異株を含めたCOVID-19の感染状況の把握に貢献するとともに、COVID-19にとどまらない次なるパンデミックや公衆衛生上のリスク把握などに向けたオールジャパン体制の構築を引き続き目指していく。

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