緑内障患者対象点眼剤 「STN1013001」 欧州医薬品庁が承認申請受理 参天製薬

 参天製薬は6日、開放隅角緑内障および高眼圧症での眼圧降下を目的とする STN1013001について、欧州医薬品庁(EMA)が承認申請を受理したと発表した。
 緑内障患者の60%がドライアイを有しているとも言われており、眼表面疾患(OSD、Ocular Surface Disorder、)は、緑内障を管理する上で新たな課題となっている。OSD は、涙液層が劣化し、眼表面が損傷する多因性の疾患で、患者のQOLを低下させるとともに、緑内障治療における点眼遵守を低下させ、治療の有効性に影響を与える。 STN1013001は、防腐剤無添加のカチオニック(プラスに帯電したイオン)乳化点眼剤で、ラタノプロストを50μg/mL 含有している。この製剤には、プラスに帯電した点眼液がマイナスに帯電した眼表面に引きつけられて、眼表面での分布性と滞留性が向上する技術が用いられている。
 参天製薬が開発したこの特許技術は、涙液の油層の表面特性を向上させ、ドライアイ向けの人工涙液などの中核技術として用いられ、それら製品は、30以上の国々で承認されている。
 なお、ラタノプロストは、上昇した眼圧を抑制する 欧州で最も処方されているプロスタグランジン関連薬である。今回の承認申請は、欧州とアジアで実施されたP3相臨床試験のSTN1013001(ラタノプロスト 50μg/mLカチオニック乳化点眼剤)とラタノプロスト50μg/mLとの非劣性試験の結果に基づくもの。
 STN1013001 の眼圧を下げる効果について、12週目の午前9時と午後4時の眼圧において、ラタノプロスト50μg/mLに対する非劣性が示された。
 さらに、4週目の両時刻においても 12週目と同じく非劣性が示された。OSD(副次的評価項目)の改善においても、12週目の角膜フルオレセイン染色スコアをもって、ラタノプロストに対する STN1013001の優越性が示された。

◆P3相臨床試験の治験責任医のChristophe Baudouin氏(MD, PhD、Quinze-Vingts国立眼科病院教授・学科長)のコメント
 緑内障への理解が進み、多くの治療選択肢が存在するにもかかわらず、いまだに世界中でこの疾患が進行し、多くの視力が失われている。このため、イノベーションに対する期待はますます高まっている。効果的な眼圧の下降と眼表面の保護、改善を組み合わせるこの技術によって、点眼に困難を感じる多くの患者さんの点眼遵守、QOL向上、手術の良好な経過に資することができる。

◆ピーター・サルスティグSantenチーフメディカルオフィサーのコメント
 患者さんと医師に新たな治療選択肢を提供することで、Santen の緑内障領域における豊富な専門性をさらに発展させていくことを楽しみにしている。多くの緑内障患者さんは眼表面疾患に苦しんでおり、その症状への対処を目的とした治療選択肢を待ち望んでいる。本日の発表もまた、“Happiness with Vision”を提供するひとつの例である。

◆ルイス・イグレシアスSanten EMEA(Europe, Middle East and Africa)事業統括兼北米事業統括のコメント
 この革新的なカチオニック乳化剤の技術は、EMEA の研究開発チームが開発したもので、Santenが誇る技術のひとつである。眼表面疾患におけるアンメットニーズに対し、この革新的な製品を近い将来、緑内障の一つの治療法として患者さんにお届けできることを願っている。

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