新型コロナ対応地方創生臨時交付金の薬局への活用を大阪府市長会等に要望 大阪府薬と大阪府薬剤師連盟

尾島氏

 大阪府薬剤師会は5日、定例記者会見を開催し、尾島博大阪府薬剤師連盟会長が、「5日付けで新型コロナ対応地方創生臨時交付金の薬局への活用について、大阪府市長会会長、大阪府町村会に要望書を提出した」ことを明らかにした。
 また、乾英夫大阪府薬会長は、来年1月からの電子処方箋導入に向けての対応として、「日本薬剤師会認証局が発行するHPKI(薬剤師資格証)」について報告。「9月26日からHPKIカードの発行が再開された。現在、各薬局の管理薬剤師からの交付申し込みを受け付けを実施しており、大阪府薬では申し込みの周知徹底を図っている」と述べた。

乾氏


 乾氏は、規制改革会議で検討されている‟院内調剤の外部委託”問題にも言及し、「責任の所在をどうするのか、さらに薬剤師法の改正も伴う大きな問題である」と反対の姿勢を強調。
 その上で、「地域の薬局の薬剤師の役割が問われている。我々は、地域住民の皆さんに薬剤師職能を理解して頂き、活用して貰える薬局に成れるよう引き続き尽力したい」と訴求した。
 国民皆保険制度の中、保険調剤を実施する薬局は、物価高騰の影響を価格に転嫁できないため、経営努力だけでの対応では極めて困難な状況に置かれている。ロシアによるウクライナ侵略や円安による物価高騰のあおりを受け、特に薬局で使用頻度の高い紙類の値上げ、新型コロナ抗原キットの配達や在宅医療の居宅訪問時に必要な車両のガソリン代の高騰、調剤に欠かせない高熱水道費の高騰などが、薬局経営をさらに逼迫しているのが現状だ。
 2022年度新型コロナ対応方創生臨時交付金通知については、まず、8月2日に厚労省から各都道府県保健所設置市特別区の衛生主管部局に通達された(全国での予算額2000億円)。同交付金は、生活者支援、事業者支援を目的としたもので、その分配方法は各都道府県市町村に委ねられている。
 これに対し、大阪府は、「同交付金を活用した薬局を始めとする医療機関への支援は、今回は行わない」方針を示している。
 その後、9月13日に、同交付金の追加予算(4000億円)が計上され、厚労省から「薬局等への支援に関する新型コロナ対応地方創生臨時交付金における‟電力・ガス・食料品等価格高騰重点支援地方交付金”の活用について」の通知書が再度各都道府県や各自治体に通達された。
 これに伴い、大阪府茨木市では、病院50万円、診療所、歯科クリニック、薬局にそれぞれ10万円の臨時交付金の支払いを実施している。
 尾島氏は、「8月の通知書では、大阪府は、薬局を始めとする医療機関には、これまで色々な対応をしてきたので、交付金を出さない方針を示した。だが、9月の通知では、‟薬局等への支援”という文言が含まれており、改めて訴求する必要がある」と説明。
 そこで、大阪府薬剤師連盟では「10月5日に、まずは、野田義和大阪府市長会会長(東大阪市長)、田代堯大阪府町村会会長(岬町長)に対して、同交付金を活用した薬局の負担軽減のための財政支援の要望書を大阪府薬との連名で提出した」
 大阪府については、「9月の厚労省からの通知書については、薬局への支援の有無は表明していない」とした上で、今後、「大阪府薬剤師連盟では、大阪府薬との連盟で大阪府に対してや大阪市をはじめとする大阪府下の各市町村に薬局への臨時交付金による財政支援の実施を要望していく」考えを示した。
 尾島氏は、「薬局経営において、紙類の値上げやガソリン代の高騰がボディブローのように効いている。調剤報酬は決められているので、経済状況に応じて勝手に値上げすることはできない」と薬局が困難な状況に追い込まれていることを改めて強調。
 乾氏も「支援金の額の大きさではなく、コロナ禍における薬剤師職能に対する評価が現場のモチベーションの高揚に繋がる」と訴え掛けた。
 9月26日からの本薬剤師会認証局が発行を再開したHPKIカードについては、乾氏が「まずは、管理薬剤師から受け付けている。その後、他の薬剤師についても順次受付を開始する手順になっており、大阪府薬では、会員のHPKIカード申請について周知徹底を図っている」と断言。同カード取得費用についても「日薬会員は5年間で1万9800円、非会員は2万6400円必要となる」と説明した。
 乾氏は、薬剤師が新型コロナワクチン接種の担い手となるための研修会についても言及し、「9月17日に3回目の研修を終え、2022年度は156名に終了書を発行した。昨年度と併せて216名の研修修了者が誕生した」と報告。その上で、「来年度に向けて、研修修了者の更新も含めた研修会開催を検討していく」意向を示した。

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