キイトルーダ 進行又は再発子宮頸がん、再発高リスク乳がん術前・術後療法の適応追加承認取得 MSD

 MSDは26日、キイトルーダについて、進行又は再発子宮頸がん、再発高リスク乳がん術前・術後療法で適応追加承認を取得したと発表した。適応は、進行又は再発の子宮頸癌、ホルモン受容体陰性かつHER2 陰性で再発高リスクの乳癌における術前・術後薬物療法。
 子宮頸がんは、子宮下部にある子宮頸部の粘膜の細胞に発生するがんで、おもにHPV(ヒトパピローマウイルス)の感染が原因である。異性との性経験のある女性の84.6%が一生に一度はHPVに感染すると推計されている。
 世界では、年間約60万人の女性が子宮頸がんに罹患し、約34万人が子宮頸がんによって死亡している。日本では毎年1万人以上の女性が子宮頸がんと診断され、年間約2900人が亡くなっている。子宮頸がんは20~40歳代の女性に多い。
 今回の承認は、根治的治療の適応がなく、化学療法歴のない(化学放射線療法としての投与歴は除く)進行又は再発の子宮頸癌患者617例(日本人57例を含む)を対象とし、キイトルーダと他の抗悪性腫瘍剤(パクリタキセル及びプラチナ製剤±ベバシズマブ)との併用療法注1)の有効性及び安全性を、プラセボと他の抗悪性腫瘍剤との併用療法を対照として評価した国際共同P3相試験(KEYNOTE-826試験)に基づくもの。同試験において、キイトルーダと他の抗悪性腫瘍剤との併用療法はプラセボと他の抗悪性腫瘍剤との併用療法と比較して主要評価項目の全生存期間(OS)及び無増悪生存期間(PFS)を有意に延長した(OS: HR=0.67 [95% CI, 0.54-0.84, P= 0.0003]、PFS: HR=0.65 [95% CI, 0.53-0.79, P < 0.0001])。
 安全性については、安全性解析対象例307例中298例(97.1%)(日本人35例中35例を含む)に副作用が認められた。
 一方、乳がんは、日本では、1年間に約9万4500人(女性: 9万3900人、男性700人)が診断され、年間約1万4700人の女性が亡くなっていると推定される。
 女性のがんの中で乳がんは最も多く、特に40歳代後半〜60歳代後半の罹患率が高い傾向にある。乳がんは、主にホルモン(エストロゲン、プロゲステロン)受容体、ヒト上皮成長因子受容体2(HER2)、がん細胞の増殖能(Ki67)という3つの要素を調べることにより5つのサブタイプに分類される。
 その一つにトリプルネガティブ乳がん(TNBC)があり、ホルモン受容体の発現やHER2過剰発現を伴わないサブタイプだ。TNBCは、乳がん全体の約10-15%を占め、40歳未満の女性に多く、他のタイプの乳がんに比べ一般に増殖能が高く生存期間も短いといわれている。
 これまでのTNBCにおける効能又は効果は「PD-L1陽性のホルモン受容体陰性かつHER2陰性の手術不能又は再発乳癌」のみであったが、今回の承認により「ホルモン受容体陰性かつHER2陰性で再発高リスクの乳癌における術前・術後薬物療法」が追加となった。

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