アッヴィは26日、リンヴォックについて、既存治療で効果不十分な中等症から重症の潰瘍性大腸炎の寛解導入、および維持療法の治療薬として適応追加承認を取得したと発表した。リンヴォックは、低分子のJAK阻害剤で、1日1回投与の経口剤である。
同承認により、リンヴォックは日本において、関節リウマチ、関節症性乾癬(乾癬性関節炎)、アトピー性皮膚炎と強直性脊椎炎に続く5番目の適応症を得た。同承認は、中等症から重症の潰瘍性大腸炎の患者を対象とした、日本を含む複数の国際共同試験データから得られた結果に基づくもの。これらの試験において、リンヴォックは、寛解導入療法試験では8週時、維持療法試験では52週時に主要評価項目である臨床的寛解(Adapted Mayoスコアに基づく)を達成し、また臨床的改善や粘膜治癒を含むすべての副次評価項目も達した。
潰瘍性大腸炎は、原因不明の炎症により、大腸の粘膜が傷つき、びらん(ただれ)や潰瘍ができる指定難病です。慢性的な下痢・血便、腹痛に加え、発熱や貧血などの症状が現れ、症状が良くなったり(寛解)悪くなったり(再燃)を繰り返す。
潰瘍性大腸炎の原因はまだ完全には分かっていないが、細菌や異物などから身体を守る「免疫」の異常が関係していると言われている。30歳以下の患者で多く発症するが、小児や50歳以上の年齢層にもみられ、日本国内における患者数は約22万人と推定され、年々増加している。
潰瘍性大腸炎の治療では薬物治療による寛解を目指し、できるだけ長く再燃しない状態を維持することが重要である。だが、長期にわたってコントロール困難な状態が続く患者も存在し、重症患者の約30%で最終的に結腸全摘除術が必要となる場合もある。
また、従来の生物学的製剤では有効性の発現が遅い患者も一部存在することや、継続投与によって起こり得る効果の減弱、過敏症反応などを引き起こす可能性もある。このように、潰瘍性大腸炎治療にはアンメットニーズが依然として存在し、より多くの治療選択肢が必要とされているのが現状だ。
リンヴォックは、こうしたアンメットニーズに応えるだけでなく、注射など従来の非経口投与の生物学的製剤で治療を行っている患者に対しては、1日1回投与の経口剤として、患者の負担を軽減しうる新たな治療選択肢となりえる。
アッヴィは、潰瘍性大腸炎やクローン病といった炎症性腸疾患(IBD)の領域に対して、リンヴォックに加えて、ヒュミラ、スキリージの3製品の提供を通じて、IBD患者に貢献していく。