ディスカッション・ペーパー「がんゲノム医療の明日に向けて」の共同発行 武田薬品

 武田薬品は30日、同社およびテンクー、西日本がん研究機構(WJOG)、肺がん患者の会ワンステップ、ミルテル他3社で構成される「がんゲノム医療の明日を考える会」が、ディスカッション・ペーパー「がんゲノム医療の明日に向けて」を発行したと発表した。
 同会は、全てのがん患者が適切ながんゲノム医療を享受できる環境の実現に向けて、2021年9月に発足した。がんゲノム医療を取り巻く本邦における多様な課題およびその解決方法を約1年間にわたり検討しており、これまでの活動結果をディスカッション・ペーパーとして発行する運びとなった。
 がんゲノム医療とは、主にがんの組織を用いて、多数の遺伝子を同時に調べ(がん遺伝子パネル検査)、遺伝子変異を明らかにすることにより、一人一人の体質や病状に合わせて治療などを行う医療だ。全国にがんゲノム医療中核拠点病院やがんゲノム医療拠点病院、がんゲノム医療連携病院が指定されており、全国どこでもがんゲノム医療が受けられるようになることを目指して、体制づくりが進められている。
 こうした中、同ディスカッション・ペーパーでは、がんゲノム医療の意義と本邦における現状と課題に言及し、その解決に向けた本会が考える近い将来のあるべき姿と、がんゲノム医療の未来への期待について述べている。概要は次の通り。
1:はじめに
・同会の設立に至る経緯、本会を設立した思いと狙い

2:がんゲノム医療の意義
・がんゲノム医療の臨床的有用性、患者にとっての意義

3:がんゲノム医療の現状と課題
・がんゲノム医療の現状における制度的制約や情報の制約
・医療政策のトリレンマ(医療の質・アクセスの充実・低コスト)

4:がんゲノム医療の明日に向けて
・がんゲノム医療の未来と課題
・各ステークホルダーにとってのがんゲノム医療の発展の意義

 患者(団体)・医療従事者・企業・政治/行政・アカデミア・メディア等、がんゲノム医療に関わる様々なステークホルダーにとって、同ディスカッション・ペーパーが、本邦におけるがんゲノム医療の課題に対する社会の理解の向上、ならびに課題解決に向けた機運の醸成に寄与し、近い将来(”明日”)を見据えた〝患者本位のがん医療の実現〟に向けた議論の発展につながることが期待される。

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