小野薬品は10日、ナレッジパレット(本社:神奈川県)と、ナレッジパレットの大規模トランスクリプトーム解析技術を活用した、データ駆動型の新薬創出基盤の構築を目的とする共同研究を拡大する契約を締結したと発表した。
昨年11月に締結した共同研究契約に基づき、両社は、従来と比較してより大規模なデータとインフォマティクスを駆使して、新たな創薬の仮説をデータ駆動的に創出し得る可能性を検討してきた。
今回の共同研究の拡大では、多種類の化合物で処理したヒト細胞や遺伝子機能阻害等の摂動を与えたヒト細胞における遺伝子発現パターンの全体像を、ナレッジパレットが有する大規模トランスクリプトーム解析技術を活用して、データベース化する。
そのデータベースを活用して、得られる網羅的細胞データを情報科学的アプローチにより解析することで、数多くの新規創薬標的となりうる分子メカニズムを明らかにし、データ駆動型の新薬創出の基盤構築に取り組んでいく。
将来的には、より大規模に高精度な網羅的細胞データを追加取得することで、広範な疾患領域に対して新規の創薬仮説の創出に繋がるものと期待される。
◆滝野十一小野薬品取締 専務執行役員研究本部長のコメント
当社は、ナレッジパレット社の有する1細胞レベルの全遺伝子発現解析技術(Quartz-Seq2)を応用した研究開発基盤を高く評価している。今回のナレッジパレット社との拡大共同研究契約を通じて、当社の革新的な医薬品の開発パイプラインが一層拡充されることを期待している。
◆團野宏樹ナレッジパレット代表取締役CEOのコメント
当社は、全遺伝子発現情報と情報科学を活用した新しい表現型創薬を行っている。本研究で得られる大規模で包括的な細胞表現型データを、当社プラットフォームの基盤データベースに追加することで、多くの新しい創薬仮説を創出し、より開発成功確率の高い新薬候補化合物や細胞医薬シーズを探索できるようになると考えている。