ラツーダ特許切れ後を支える米国3新製品拡大を改めて強調 住友ファーマ野村社長

 住友ファーマは9日、Webでの社長会見・個別質問会を開催し、野村博社長が、ラツーダ特許切れ後を支えるオルゴビクス(前立腺がん)、マイフェンブリー(子宮筋腫、子宮内膜症)、ジェムテサ(過活動膀胱)の米国3新製品について言及。「これらは、ラツーダの特許切れ後の売上を支えていく製品として、スミバント社を始め全社を挙げて成長のため努力していく」方針を強調した。
 2021年度における米国3新製品は、「コロナ禍でダイレクトなディテール活動ができなかった」ため伸び悩んだ。オルゴビクスは昨年1月、マイフェンブリーは昨年6月に上市されたが、立ち上げの重要な時期にセールスレップが医療機関を訪問できない状況下にあり、大きなハンデキャップを背負った。
 現況について野村社長は、「オルゴビクスは、免疫が低下しているがん患者を対象としているので、セールスレップのアクセスは戻っていない。マイフェンブリーは、婦人科疾患のため患者が受診方向へ回っていない」と説明。
 その上で、「昨年ほどではないがまだコロナの影響がある。アクセスが難しい状況下において、米国でもファイザーのセールスレップとともにリモートでの情報提供活動を進めている。この状況の中で大きなディテール環境の改善は難しいが、地道にやっていくしかない」との考えを示した。
 2022年度第1四半期の北米での3新製品の売上高は、オルゴビクス47億円、マイフェンブリー5億円、ジェムテサ44億円。
 2022年度通期の売上予想は、オルゴビクス+マイフェンブリー+ジェムテサ+その他で752億円を見込んでいるが、「現況のコロナ禍の影響を織り込んだ上での数字なので達成できる」と訴求した。
 こうした中、オルゴビクスの北米でのマーケティング状況は、2022年度第1四半期に約3500人への新規投与を開始(2021年度第4四半期比で24%増)した。発売以来約1万8000人の患者に処方されており、院内処方施設、大学病院等の処方が約80%に上る。
 加えて、引き続き、民間保険の81%、メディケア・パートDの99%の広範なカバレッジを確保している。オルゴビクス服用患者の75%が月間の自己負担額が$60未満に設定されており、Gross to Netは40%台後半を示している。
 マイフェンブリーは、2022年度第1四半期に約2400人への新規投与を開始(2021年度第4四半期比で71%増)し、発売以来約5800人の患者に処方されている。同剤の発売以来、子宮筋腫を対象としたGnRHアンタゴニスト製剤の処方箋枚数は約2.8倍に拡大しており、引き続き、民間保険の94%の広範なカバーレッジを確保している。
 8月5日付け(米国時間)で子宮内膜症の効能追加が認められたことに対しては、「今後、それぞれの適応症で同程度の売上高が見込まれる」と予測する野村氏。
 加えて、同剤がさらなる伸長を遂げるには、「骨密度への影響についてどれだけの安全性を訴求するかに尽きる。GnRHアンタゴニスト市場がどのくらい拡大するかも一つの条件になっている」と断言した。
 安全性情報については、既に子宮筋腫の適応症で得た2年間のデータは6月にFDAに提出済みで、子宮内膜症も長期臨床試験結果のFDAへの提出を予定している。
 ジェムテサは、本年6月に月間処方箋枚数3万8100枚を獲得するなど、2022年度計画に対して順調に進捗している。さらに、本年3月よりカバレッジは拡大していないものの、2022年度中にカバレッジのピーク値の大部分を獲得する計画である。

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