簡易株式交換でアンチエイジングペプタイドを完全子会社化へ ファンペップ

機能性ペプチド事業のさらなる強化と企業価値向上目指して

 ファンペップは14日、同社に対して抗体誘導ペプチドに関する知的財産権を許諾しているアンチエイジングペプタイド(AAP)との間で、株式交換契約を締結したと発表した。
 同契約は、ファンペップを株式交換完全親会社、AAPを株式交換完全子会社とする簡易株式交換で、AAPの完全子会社化を目的としたもの。
 AAPは、大阪大学大学院医学系研究科中神啓徳寄附講座教授(健康発達医学講座)の研究成果である機能性ペプチド AJP001 及び機能性ショートペプチド群の実用化を図るために2016 年4月に設立された大学発ベンチャー。ファンペップは、AAPの完全子会社化により、中神氏らの機能性ペプチド研究成果に基づく機能性ペプチド事業をより一層強化し、企業価値向上を目指す。
 株式交換は、ファンペップについては、会社法第796条第2項の規定に基づき、株主総会の承認を必要としない簡易株式交換の手続により、AAP については、本年8月19日開催予定の臨時株主総会において承認を受けることを条件に、本年10月1日を効力発生日として行う予定だ。
 なお、同株式交換は、AAPの直前事業年度の末日における総資産の額がファンペップの直前事業年度の末日における純資産の10%未満、かつ、AAPの直前事業年度の売上高がファンペップの直前事業年度の売上高の3%未満であると見込まれる株式交換であるため、開示事項・内容を一部省略して開示している。


 ファンペップは、中神啓徳寄附講座教授の研究成果である機能性ペプチドの実用化を目指した研究開発を進めている。
 新規血管新生因子の探索研究から創生された機能性ペプチドAG30(angiogenic peptide 30)を起源とし、多様な機能に着目してそれぞれの機能に特化した機能性ペプチドを創生して医薬品及び化粧品等の分野で事業化を図っている。
 医薬品分野においては、先行開発品の機能性ペプチドSR-0379が皮膚潰瘍を対象にP3相臨床試験段階まで進展して実用化に近づいている。
 だが、その一方でファンペップの今後の成長戦略については、新規モダリティ(創薬技術)の抗体誘導ペプチドの研究開発パイプラインが担っている。
 機能性ペプチドAJP001 をコア技術として創薬研究を行い、既に3つの開発化合物(FPP003、FPP004 及び FPP005)が創生され、先行開発品 FPP003 は世界展開に向けて海外での臨床試験が進行中である。
 抗体誘導ペプチドは、患者様の体内で抗体産生を誘導することにより治療効果を期待するペプチドワクチンである。
 バイオ製造施設で製造する抗体医薬品とは異なり、化学合成で製造することが可能な抗体誘導ペプチドは製造コストを抑制でき、さらに投与後は患者様の体内で免疫細胞が一定期間持続的に抗体を産生するため、薬剤投与間隔も長いことが期待される。
 この特徴により、抗体誘導ペプチドは、高額な抗体医薬品と比較して薬剤費を抑制し、患者が経済的にアクセスしやすい医薬品として、将来、炎症性疾患やアレルギー性疾患等の慢性疾患の治療に貢献することが期待される。
 これまで、抗体誘導プロジェクトのコア技術であるAJP001の知的財産権については、大阪大学から独占的使用権を取得している AAPからサブライセンスを受けて事業展開していた。
 一方、AAPは、科学技術振興機構(JST)の研究成果展開事業大学発新産業創出プログラム(START)に基づき、中神啓徳寄附講座教授の研究成果である機能性ペプチド AJP001 及び機能性ショートペプチド群の実用化を図るために2016 年4月に設立された大学発ベンチャーである。
 AAPは主に化粧品分野で事業展開しており、アンチエイジング機能をもつ機能性ショートペプチド OSK9は、大手化粧品会社の化粧品に美容成分として配合されている。
 こうした背景のもと、ファンペップでは、今回の株式交換でAAPを完全子会社化してグループ内に取り込むことにより、①医薬品分野においては抗体誘導ペプチドプロジェクトのコア技術である AJP001の知的財産基盤を統合強化し、②化粧品分野においてはこれまで注力してきた機能性ペプチド キュアペプチンに加えてアンチエイジング機能をもつOSK9等のショートペプチド群を取得して事業強化を推進する。
 これらの戦略により、大阪大学大学院医学系研究科の機能性ペプチドの研究成果に基づき展開する機能性ペプチド事業をより一層強化し、企業価値向上に努めていく。

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