がん領域に特化した研究開発型バイオベンチャー企業のChordia Therapeutics(神奈川県)は、選択的汎CDC 様キナーゼ阻害薬CTX-712(CLK阻害薬)について、P1試験の中間結果で良好な結果を公表した。6月3日~7日開催の米国臨床腫瘍学会(ASCO)の年次総会(The 2022 ASCO Annual Meeting)で報告したもの。
固形がんと血液がんを対象としたCTX-712のP1試験において、臨床的に許容できる安全性プロファイルが示された。また、抗腫瘍効果に関して複数の被験者において認められ、初期的な POC(Proof of Concept(概念実証))が確認できた。
観察されたDLT(dose-limiting toxicity:用量制限毒性)は、脱水、血小板数減少、低カリウム血症であり、週2回の投与におけるMTD(Maximum Tolerated Dose:最大耐用量)は140mgと決定された。
なお、卵巣がんと急性骨髄性白血病患者において、それぞれ2 例の PR (partial response:部分奏効)と 2 例の CR(complete response:完全奏効)が認められた。
PK(pharmacokinetics:薬物動態)解析では、用量依存的な全身曝露量の増加が観察され、PD(pharmacodynamics:薬力学的)マーカーとして設定した 2 つの RNA のエクソンスキッピングが用量依存的に増加したことから、CTX-712による mRNAのスプライシング変化が確認された。
現在、推奨されるP2相臨床試験での用量を決定するためのさらなる試験を進行中である。
◆同試験治験責任医師の山本昇氏(国立がん研究センター中央病院先端医療科長)のコメント
世界に先駆けて、まったく新しい作用機序の抗がん薬候補のファーストインヒューマン臨床試験に携わることができて非常に光栄である。
まだ初期の臨床試験であるが、将来的に CTX-712 が進行・再発又は難治性の悪性腫瘍の患者さんに対して有効な治療薬になることを期待している。