武田薬品は6日、ベクティビックスについて、RAS遺伝子野生型大腸がんのP3試験(PARADIGM試験)で、原発巣占居部位が左側及び全体のいずれの集団でも主要評価項目である全生存期間(OS)の有意な延長が確認されたと発表した。
対象は、RAS遺伝子野生型で化学療法未治療の切除不能進行再発大腸がんの日本人患者。
同試験結果に関するデータは、米国シカゴで開催中の米国臨床腫瘍学会(ASCO)年次総会の5日のPlenary Sessionで報告された。
PARADIGM試験は、RAS遺伝子野生型で化学療法未治療の切除不能進行再発大腸がんの日本人患者を対象に、mFOLFOX6+ベバシズマブ併用療法と、mFOLFOX6 +パニツムマブ併用療法の有効性および安全性を比較するP3相無作為化比較試験である。同試験では、RAS遺伝子野生型で原発巣占居部位が左側(下行結腸、S状結腸、直腸)である大腸がん患者における適切な治療を世界で初めて前向きに検証した。
主要評価項目である全生存期間(OS)において、原発巣占居部位が左側及び全体、いずれの集団でもmFOLFOX6+パニツムマブ併用療法がmFOLFOX6+ベバシズマブ併用療法に対し、統計学的に有意な延長が認められた(左側 OS中央値:37.9 vs. 34.3, HR=0.82 [95.798% CI: 0.68-0.99], p=0.031、全体 OS中央値:36.2 vs. 31.3, HR=0.84 [95% CI:0.72-0.98], p=0.030)。
なお、同試験におけるパニツムマブ投与時の安全性プロファイルはこれまでに公表された臨床試験結果と同様の内容であった。
ベクティビックスは、切除不能な進行再発大腸がん(mCRC)の治療薬としてFDAにより承認された。同剤は、フッ化ピリミジン系、オキサリプラチン、及びイリノテカンを含む化学療法による前治療後の疾患進行後のEGFR発現mCRC患者に対する単剤療法として、 2006年9月に米国で、2010年に日本で承認・発売されている。
◆PARADIGM試験ステアリングコミッティ委員長の室圭愛知県がんセンター 副院長・薬物療法部部および吉野孝之国立がん研究センター東病院副院長・消化管内科長のコメント
ASCOのPlenary Sessionに本試験結果が採択されたことは、本試験の重要性が世界的にも認められた結果であると考えられる。
この結果が世界の大腸がん治療に影響を与え、ひとりでも多くの大腸がん患者さんのより良い治療結果に結び付くことを期待する。
◆堀井貴史武田薬品日本オンコロジー事業部長のコメント
今回のPARADIGM試験の結果を大変喜ばしく思う。本試験によって、本併用療法が患者さんにもたらし得る価値についてさらに理解を深めることが可能になった。
本試験に多大なるご協力をいただいた患者さん、そのご家族、試験担当医師/協力者の皆さまに深く感謝申し上げたい。当社は、引き続き、アンメットニーズの高い疾患において新たな治療薬を必要とする患者さんに一層貢献できるよう努めていく。