2021年度外部相談窓口サービス相談状況レポート公表 ドクタートラスト

メンタルヘルス、ハラスメントの相談がトップ

 ドクタートラストは、「2021年度 外部相談窓口サービス[アンリ]相談状況レポート」を公表した。同レポートは、2021年4月~2022年3月に同社の外部相談窓口サービスに会員企業の従業員から寄せられた相談を分析したもの。
 談内容で最も多かったのは「メンタルヘルス」、次いで「ハラスメント」で、相談方法で最も多かったのは「電話」で全体の60%、次いで「メール」が同34%であった。「オンライン面談」の割合が6%と前年度比で倍になった。
 外部相談窓口サービス[アンリ]とは、ドクタートラストが提供する外部窓口サービス・EAPサービスだ。ドクタートラストに所属する産業保健師、公認心理師、精神保健福祉士などの医療職が相談員として契約企業の従業員からの相談を受けている。
 また、各ハラスメント防止法令で定められた「相談窓口」としての要件を満たしている。
 相談内容を分野ごとに集計したところ、最も多かったのは「メンタルヘルス」で、「ハラスメント」、「健康(新型コロナ除く)」、「新型コロナウイルス」と続いた。

図1


 また、実際の相談内容のうち、職場に関わるものとしては、「上司・先輩との関係」が最も多かった。

図2


 実際の相談内容(一部)は、次の通り。

<メンタルヘルス>
・ 精神的不調があるが、受診をしたら良いのかわからない
・ 親、友人、同僚で亡くなった人がいる(自殺含む)
・ 在宅勤務が続き、気持ちがふさぎ込む
・ 自分の気持ちの整理の仕方がわからない
・ 落ち込んでいる人にどのように声を掛けたら良いかわからない

<ハラスメント>

・ 会議など皆の前で上司から叱責される
・ 上司が好みの部下をひいきする、正当な評価がなされない
・ 有給休暇の取得理由をしつこく聞かれる
・ 断続的に男性の同僚から誘われ、困っている(女性の方からのご相談)

<健康>

・ 持病にまつわる相談
・ 月経や更年期障害がつらいが周囲の理解がない
・ 持病を上司が理解してくれない
・ 病気を明かさずに仕事をしたい

<新型コロナウイルス>

・ 感染症対策の価値観が異なる人がいて、神経をすり減らしている
・ マスクをせず電話する上司に進言できない
・ ワクチン接種後の副反応が治まらない
・ 感染し、復帰したが、再度感染するのではないかと不安
・ 会社としての感染症対策に不安がある

2. 相談方法の内訳

 アンリでは、ご相談方法に「電話」「メール」「オンライン面談」「対面」の4通りを用意している。このうち最も多かった相談方法は「電話」で全体の60%、「メール」が同34%、「オンライン面談」が同6%と続いた。


  電話相談のメリットとしては、その場で相談者の状況を詳しく聞くことができ、すぐに返答・アドバイスできる点にある。また、声の状態も含めて相談者の様子を伺える点も挙げられる。
 一方、メール相談については、匿名性がより高く、相談者の好きな時間に相談ができること、自身のペースで悩みを書きつづるなかで問題整理ができる点が挙げられる。
 また、2021年度は、WEB会議システムを利用したオンライン面談での相談も全体の6%を占め、2020年度の3%から割合を大きく増加した。
 オンライン面談はリモートワーク環境にいる人、自宅で仕事をしている人、SEなど、オンライン環境に慣れている人が利用する傾向にある。対面に似ているので、表情やしぐさなどから感情などを読み取りやすく、より深いかかわりができる点が特徴だ。
 相談者のなかには死にたい、消えたいなどの気持ち(希死念慮)を抱いて居るヒトもいる。このまま労働することがリスクになると考えられる場合は、速やかに企業、産業医との連携を行っている。
 実際、2021年度は、150名の人への医療機関の受診勧奨、さらに69名の人に産業医面談を受けるように提案した(すでに医療機関などを受診している人を除く)。
 新型コロナウイルスに起因する自粛生活が長引き、メンタルヘルス不調を感じる人はより一層増えている。メンタルヘルスの分野では、それぞれがまったく異なる悩みを抱え、その人の性格、サポート、エピソードの傾向ごとに対処していく必要がある。
 また、相談内容のうち「ハラスメント」の多くは上司との関係性に悩んでいる。ハラスメント解消については、企業が従業員に対しての建設的な対処ができず、問題が根深くなる場合があるため、企業として対処の仕方をよく心得ておくべきだ。
 

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