研究開発費年間1000億円、対売上比率20%目指す 小野薬品相良社長

2024~25年目途に米国で自販開始 ベレキシブルが第1号製品に

相良氏

 小野薬品の相良暁社長は11日、2022年3月期決算説明会で会見し、2023年度売上収益予想4250億円について、「追うべき規模は、売上収益ではなく研究開発への投資額である。年間研究開発費1000億円、対売上比率20%の会社を目指したい」と訴求した。
 一方、同社の売上収益を牽引する抗悪性腫瘍剤「オプジーボ」の2022年度売上高予想は1550億で、肺がん、胃がんの一次治療で約半分以上を占める見込みだ。年間新患者数は、肺がん3万5000人、胃がん2万2000人に上り、両疾患でのシェア獲得により、「中長期的にも右肩上がりとなる」見通しを示した。
 米国での自販開始については、「2024~25年辺りを想定している。現在、ベレキシブル(中枢神経系原発リンパ腫治療薬)の臨床試験を行っており、米国で承認取得すれば自販第1号製品になる」と明かした。
 小野薬品は、2014年にオプジーボを上市するとともに、その前後のオプジーボ以外の自社製品が手薄になるタイミングでライセンス活動を積極的に展開。オプジーボや導入品の成長により売上収益を拡大していき、2023年度は4250億円を見込んでいる。
 こうした中、相良社長は、「売上収益よりも研究開発費の規模に重きを置きたい」と強調し、「研究開発費年間1000億円(対売上比率20%)、その後はさらに1500億円を目指したい」と語った。
 2022年度の研究開発費予想は870億円で、「1000億円投資は、近い将来実現できる」と明言。さらに、「我々が思っているところに投資ができるステージが近づいてきた。創造力、目利き力を活かしながら、バイオベンチャー、アカデミアとの共同研究をより積極的に広く展開していきたい」と抱負を述べた。
 新製品では、パーキンソン病治療薬「オンジェンティス」が順調に伸長している(2021年度売上実績29億円、対前年比742.4%増)。関節機能改善剤「ジョイクル」の2021年度売上収益は6億円、がん悪液質治療薬「エドルミズ」は4億円。
 ジョイクルは、「発売当初、200~300億円を狙っていたが、有害事象が出たので、現在は安全情報提供に専念している。これが解決できれば、相当の伸びが期待できる」と力を込めた。
 一方、オプジーボについては、肺がん一次治療における新規処方シェア30%を維持している。今後は、「PDL-1値1~49%の弱陽性の肺がんの一次治療をしっかり確保し、さらなるシェア拡大を目指す」
 昨年12月末に効能追加を取得した「原発不明がん」は、本年3月末で200例以上の患者に投与されており、順調に推移している。
 2022年3月末に効能追加された「尿路上皮がん術後補助療法」は、特に今年度上期にしっかりと啓発活動を展開して、伸長を図る。
 糖尿病・慢性心不全および慢性腎臓病治療剤「フォシーガ」は、2021年度売上集積実績367億円(対前年比64%)で、2022年度は470億円(同28.2%)を予想している。
 2021年度は、糖尿病でのシェアを維持しつつ、慢性心不全、さらに慢性腎臓病で拡大しており、2022年度は慢性腎臓病が成長ドライバーとなる。
 相良氏は、ドル・円為替にも言及し、2022年度業績予想は「1ドル110円」に設定しており、「1円円安に振れる毎に8億円の収入増になる」と説明した。

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