塩野義製薬は25日、2021年11月1日に公表した2022年3月期通期連結業績予想を上方修正すると発表した。また、2021年度の期末配当も5円増配の60円とすることも明らかにした。
業績予想の修正(カッコ内は前回予想からの増加額)は、売上収益3350億円(410億円)、営業利益1100億円(200億円)、税引前利益1260億円(110億円)、親会社の所有者に帰属する当期利益1140億円(140億円)、基本的1株当たり当期利益378.14円。 業績予想上方修正の要因は、ヴィーブ社(英国)に権利を移転した抗HIV薬dolutegravir、ならびにその関連化合物を包含する特定の特許に対するギリアド社の抗HIV薬Biktarvy (bictegravirを含む3剤配合剤)の特許権侵害訴訟の和解ならびにdolutegravirの関連特許に係る特許ライセンス契約の締結によるもの。
ギリアド社がヴィーブ社に支払う一時金から、塩野義製薬もその一部を売上収益として認識した。また、今後の米国におけるBiktarvyの売上高およびbictegravirを成分に含む将来の製品売上高のbictegravirに係る金額に対して支払われる3%のロイヤリティーについては、ヴィーブ社との協議の結果、塩野義製薬が将来受領予定のロイヤリティー相当分についても、2022年3月期の売上収益として認識することで決定した。
それらの結果、売上収益は、前回発表予想を上回る見込みとなった。
各利益についても、売上収益が増加する一方での究開発費が増加したものの、ヴィーブ社からの配当受領の期ずれがあったこと等により、前回発表予想を上方修正した。なお、対前年比においても増収・増益を達成する見込みである。
一方、塩野義製薬グループでは、成長投資と株主還元のバランスを取りながら企業価値の最大化を図り、中長期的な利益成長を株主の皆にも実感して貰える施策を推進している。
配当についても、DOE 4%以上を指標に、企業価値の成長に応じて安定的に高めていくことを目指している。
2020年6月公表の中期経営計画STS2030に則り、創薬型製薬企業としての強みをさらに進化させ、ヘルスケサービスを提供するHaaS企業へと自らを変革し、社会に対して新たな価値を提供し続けて、患者や社会が抱える困りごとの解決に貢献することをビジネスの方向性に掲げ取り組んできた。
2022年3月期は、COVID-19の経口治療薬S-217622および予防ワクチンS-268019の早期実用化を目指し、COVID-19関連の研究開発活動へ費用を含めたリソースの集中投資を行ったが、通期連結業績予想としては、2021年11月1日に公表した前回予想を上回り、かつ対前年で増収増益を達成できる見込みとなった。
また、2023年3月期からは、先行投資を行ったCOVID-19関連製品の実用化に伴う収益を確保できるとの見通し示している。
今回、これらの背景ならびに財務状況、STS2030の株主還元指標であるEPS、DOE、ROE等を総合的に勘案した結果、前回発表(2021年5月10日)の期末配当予想を1株当たり5円増配の60円に修正した。
これにより、中間配当と合わせた年間の配当金は1株当たり115円となり、前期と比べて7円の増配となる。