大阪府薬剤師会は11日、定例会見を開催し、乾英夫会長がコロナ在宅・ホテル療養薬剤交付支援事業について、「在宅やホテル療養患者のもとに処方箋薬を届けると1件に付き3000円交付されるが、大阪府下の薬局の2022年2月分の請求は7000件あり、交付金が不足している」と明かした。
また、3月19日の臨時総会で決議した「大阪医科薬科大学病院敷地内薬局に関する反対意見表明」に関しては、8日に乾会長らが同大学を訪問し、要望書を提出したことを報告した。
こでまでの大阪府下薬局からのコロナ在宅・ホテル療養薬剤交付支援事業の交付金請求件数の経緯について乾氏は、「令和2年から令和3年1月までは低く、3月に爆発的に増えた。その後、令和4年は1月に1万1000件、2月に2万7000件の請求があった」と説明した。
その上で、「同事業は本年2月までだが、2月分請求を3000円のまま支給すれば2100万円の赤字になる。どのような配分にするかも含めて今後の対応を理事会で協議していく」考えを示した。なお、同交付金の支払いは本年2月分まで。
道明雅代副会長も「新型コロナ感染の第6波で、東京都や京都府でも不足している」実情を明かし、最近の請求件数増加要因の一つとして「昨年12月24日に特例承認された経口コロナ治療薬ラゲブリオ」を挙げた。
ラゲブリオは、大阪府下では国に名簿を提出した450件の薬局で調剤されており、各薬局とも「通常は3回分のみ備蓄している。多く調剤した実績のある薬局に対しては、もう少し多く在庫が置かれている」(道明氏)。本年2月に特例承認された経口新型コロナ治療薬「パキロビッド」の院外処方箋は、現在、大阪府下9薬局で対応している。
「大阪医科薬科大学病院敷地内薬局開設反対」の要望書は、8日に乾会長と石田佳弘高槻市薬剤師会会長が同大学を訪ね、植木實理事長、佐野浩一学長に提出した。
乾氏は、「薬学部を併設する大学病院の敷地内薬局の開設は他の病院のそれとは大きく異なる」と強調。さらに「薬学生は、地域包括ケアにおける薬局・薬剤師の重要性や医薬分業の本来の姿を学ばなければなら時期に、敷地内薬局の設置は授業にも影響する。門前薬局から地域の掛かり付け薬局へと移行していく時代背景において、敷地内薬局への移行は全く逆行している」と訴えかけた。
会見では、会営南河内薬局は3月31日に廃止され、地元会員法人の「せいき」(大阪府富田林市)が運営を引き継ぎ「キタバ南河内薬局」として新たにスタートしたことも報告された。
会営河内薬局は、国立南大阪病院の院外処方箋応需を契機にスタートし、以来32年の長きに渡って地域の基幹薬局として役割を担ってきた。近年、医薬分業の伸展に伴い会営薬局の役割が大きく変化する中、運営等の問題も含めて本年3月31日を以て廃止が決定されていたもの。