小野薬品は31日、Numab 社(スイス)と2017年に締結したがん免疫領域における多重特異性抗体の創製に関する契約のオプション権を行使し、新たに開発・ライセンス契約を締結したと発表した。
この契約の締結に伴い同社は、新規のがん免疫療法の標的に対する多重特異性抗体の知的財産権および当該抗体を全世界で独占的に開発・商業化する権利を取得する。
小野薬品は、同契約の対価として、Numab社に対して2017年に締結した契約に基づく支払を含め、契約一時金、開発の進捗に応じたマイルストンおよび売上高に応じたマイルストンとして、総額で最大2億5800万スイスフランを支払う。また、同社は、売上高に応じた一桁~二桁台のロイヤルティを支払う。
なお、小野薬品は、2020年3月にもNumab社と、がんの治療を目的とした本契約の対象とは異なる標的に対する多重特異性抗体医薬品の候補を創製するための2つ目の創薬提携契約およびオプション契約を締結している。
◆滝野十一小野薬品取締役専務執行役員研究本部長のコメント
Numab社との創薬提携を通じて創製された医薬品候補抗体が、この治療効果を受ける可能性があるがん患者さんにとって新たな治療選択肢となることを期待している。
Numab社の多重特異性抗体プラットフォームと当社のがん免疫療法に関する深い専門知識からもたらされる相乗効果により、当社のがん免疫療法における開発パイプラインの拡充に取り組んでいく。
◆Numab社創設者で最高経営責任者のDavid Urech氏のコメント
新規かつ非常に挑戦的ながん免疫の標的に対する多重特異性抗体候補を、この段階まで進められたことを誇りに思う。
本ライセンス契約の締結は、Numab社のプラットフォームが新規かつ独自の薬効薬理を創出する能力を有することを証明するものである。がん患者さんのための次世代がん免疫療法の開発という共通の使命を果たすため、小野薬品とのパートナーシップに引き続き期待している。