リムパーザ 高リスク早期乳がんの術後薬物療法P3試験で死亡リスクを32%低下 アストラゼネカ

 アストラゼネカは25日、同社とMSD が共同開発しているリムパーザについて、生殖細胞系列 BRCA 遺伝子変異を有する高リスク早期乳がん患者を対象とした術後薬物療法P3相試験OlympiA試験において全生存期間(OS)の延長を示し、死亡リスクを32%低下したと発表した。
 OlympiA試験では、リムパーザが、局所治療および標準的な術前または術後化学療法を完了した生殖細胞系列の BRCA 遺伝子変異陽性(gBRCAm)かつヒト上皮増殖因子受容体2(HER2)陰性の高リスク早期乳がん患者の術後薬物療法において、プラセボと比較し、統計学的に有意かつ臨床的に意義のある全生存期間(OS)の延長を示した。
 同試験結果は、3月16 日に行われた欧州臨床腫瘍学会のバーチャルプレナリーで発表された。
 OlympiA 試験は、Breast International Group(BIG)主導の下、Frontier Science & Technology Research Foundation(FSTRF)、NRG Oncology、アストラゼネカおよびMSDが提携して行っている。
 同試験では、主要な副次評価項目であるOSにおいて、リムパーザはプラセボと比較し、死亡リスクを 32%低下させた(ハザード比 0.68; 98.5%信頼区間 0.47-0.97; p 値=0.009)。
 また、3年生存率はプラセボ投与群では 89.1%であったのに対し、リムパーザ投与群では 92.8%であった。さらに、4年生存率はプラセボ投与群では 86.4%であったのに対し、リムパーザ投与群では 89.8%であった。
 同試験におけるリムパーザの安全性および忍容性プロファイルは、過去の臨床試験のプロファイルと一貫していた。
 P3相OlympiA 試験の主要解析結果は、2021年米国臨床オンコロジー学会年次総会で初めて発表され、The New England Journal of Medicine に掲載されている。OSデータと主要解析結果は、この適応での米国FDAによる最近の承認の根拠となった。
 リムパーザは、P3相 OlympiAD試験結果に基づき、化学療法歴のある BRCA 遺伝子変異陽性かつ HER2 陰性の転移性乳がん患者さんに対する治療薬として、米国、EU、日本およびその他数カ国で承認されている。
 なお。BRCA 遺伝子変異陽性乳がんにおける術後薬物療法に対するリムパーザの適応は、本邦では未承認である。
 乳がんは世界中で最も多く診断されているがんであり、2020年に診断された患者は推定230万人。米国で、全乳がん患者の91%近くが早期段階で診断され、BRCA 遺伝子変異を有する患者は約5~10%に上る。

 ◆OlympiA 試験運営委員会委員長でOncology at The Institute of Cancer Research, London and Kings College London教授のAndrew Tutt 氏のコメント
 OlympiA試験の最新データは、特定の遺伝子変異を有する乳がん患者さんにとってすばらしい知らせである。乳がんの多くは早期に発見され、多くの患者さんの転帰は良好だが、診断時に高リスクと診断された患者さんは、がんの再発リスクが依然として高いままの可能性がある。
 OlympiA 試験により、リムパーザがBRCA1/2遺伝子変異陽性の高リスクの早期乳がん患者さんの再発リスクを低下させただけでなく、全生存期間も延長させたことが示され、このような患者さんにおいて、がんに特異的な生物学的特性を標的とするベネフィットを示す喜ばしい実証となっている。

◆Susan Galbraithアストラゼネカオンコロジー研究開発エグゼクティブバイスプレジデントのコメント
 今回の喜ばしい結果は、リムパーザが BRCA 遺伝子変異陽性を有する早期乳がん患者さんの治療方法を大きく変える可能性をさらに裏付けるものである。
 OlympiA 試験は、早期乳がんにおいてPARP阻害薬が延命効果をもたらすことを初めて見出し、早期段階でのがんへの取り組みにおける持続的なイノベーションの重要性を裏付けている。

 ◆Roy Baynes MSD研究開発本部シニアバイスプレジデント兼グローバル臨床開発責任者 チーフメディカルオフィサーのコメント
 OlympiA 試験の結果から、BRCA遺伝子変異陽性かつ HER2 陰性の高リスク早期乳がん患者さんに術後薬物療法としてリムパーザを投与した場合、プラセボとの比較で生存期間が延長し、再発リスクが低下する可能性が判明した。
 これらのデータは、リムパーザによる治療に適格と思われる患者さんを特定するために、診断直後に BRCA遺伝子検査を行うことの重要性を裏付けている。

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