MSDは1日、新型コロナ経口向治療薬「ラゲブリオカプセル(一般名:モルヌピラビル)」について、6件の非臨床試験のデータにより、オミクロン株に対する活性がin vitro試験で示されたと発表した。
in vitro試験は、ベルギー、チェコ共和国、ドイツ、ポーランド、オランダ、米国を含む6カ国の機関の研究者により別々に実施された。
試験では、一般的なセルベースアッセイを用い、モルヌピラビルおよびその他の新型コロナウイルス感染症に対する抗ウイルス薬について、オミクロン株を含むSARS-CoV-2の懸念される変異株(VOC: variants of concern)に対する抗ウイルス活性を評価した。
臨床試験ではモルヌピラビルのオミクロン株に対する効果は試験が実施されていない。
MSDは、Ridgeback Biotherapeuticsと協力してモルヌピラビルを開発しており、モルヌピラビルは現在、米国、英国、日本など10カ国以上で使用許可されている。
なお、P3試験(MOVe-OUT試験)では、モルヌピラビルによる治療の効果は、懸念されるSARS-CoV-2変異株である、デルタ株、ガンマ株、ミュー株の感染患者など、全ての重要な患者サブグループで概ね一貫していた。
無作為化された全被験者のうちウイルスのシーケンスデータを得られた被験者(55.3%)において最多のSARS-CoV-2変異株は、デルタ株(58.1%)、ミュー株(20.5%)、ガンマ株(10.7%)であった。
◆Ridgeback Biotherapeutics最高経営責任者のWendy Holman氏のコメント
モルヌピラビルの作用機序、そしてin vitro試験においてオミクロン株を含む複数の変異株に対する活性が認められた新たな試験結果を踏まえ、モルヌピラビルは今後も、懸念される変異株に対する活性があり、新型コロナウイルス感染症との戦いの重要な武器になると考えている。
治験責任医師の皆さんの努力に感謝するとともに、このパンデミックに対処するための取り組みを進めていく。
◆MSD U.S.A.研究開発本部プレジデントDean Y. Li博士のコメント
現在世界で最も広がっているオミクロン株に対するモルヌピラビルの抗ウイルス活性が、複数の独立したin vitro試験において一貫して示されたことで、モルヌピラビルが、重症化のリスクの高い軽症から中等症の新型コロナウイルス感染症の成人患者さんに対する重要な治療の選択肢となりうることがさらに示された。
重要なデータをご提供くださる治験責任医師、モルヌピラビルを適切な患者さんに広く提供できるよう世界中の規制当局と連携して取り組む当社の社員に感謝している。