クローン病における複雑痔瘻治療剤「アロフィセル」を国内で発売  武田薬品

 武田薬品は30日、非活動期又は軽症の活動期クローン病患者における複雑痔瘻の治療製品「アロフィセル」を日本で発売したと発表した。
 同製品は、国内で実施されたDarvadstrocel-3002試験および、海外で実施されたADMIRE-CD試験等の結果を基に、本年2月10日に厚労省に製造販売承認申請を行い、9月27日に承認を取得したもの。
アロフィセルは、健康成人の脂肪組織から抽出し、培養・増殖させた同種異系間葉系幹細胞(eASC)の懸濁液で、少なくとも1つの既存治療薬による治療を行っても効果が不十分な非活動期又は軽症の活動期のクローン病患者における複雑痔瘻の治療製品である。
 クローン病は、消化管の慢性炎症性疾患で、国内での疫学的な推定患者数は約7万0700人と言われている。また、難病情報センターによれば、国内でのクローン病医療受給者証交付件数は約4万4000件に上る。
 クローン病患者は、複雑痔瘻を発症することが多く、これにより強い痛みや膿瘍感染症、便失禁等を引き起こす場合がある。薬物療法や外科的治療の進歩にもかかわらず、現在もなお治療困難な疾患である。
 欧州クローン病・潰瘍性大腸炎協会連合(EFCCA)が当社と共同で実施した調査によると、複雑痔瘻を有するクローン病患者は、痔瘻がスポーツや仕事、雇用など、一般的な生活する上で患者さんのQOLに多くの悪影響を及ぼすと報告している。

◆中村浩己武田薬品GIスペシャルティビジネスユニット ヘッドのコメント
 本日より、クローン病に伴う複雑痔瘻の患者さんに、弊社初の細胞治療であるアロフィセルをお届けできることを心からうれしく思う。
 本疾患は、医療の進歩した現在もなお治癒が容易でなく、患者さんが困難な日常を余儀なくされる要因の一つである。アロフィセルが新しい治療選択肢となることで、一人でも多くの患者さんが質の高い生活を取り戻されるように貢献していく。

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