新型コロナ収束を感じる人の心理ステージは初めて日米で逆転 第18回電通の新型コロナ日米定点生活者意識調査で

 電通は5日、10月上旬に全国20〜69歳の男女1000名を対象に実施した「COVID-19生活者意識ナビゲーター(第18回日米比較編)」結果を発表した。今回の調査では、新型コロナ収束を感じる人の心理ステージは、初めて日米で逆転したことが判った。
 同調査は、電通グループの海外事業を統括する電通インターナショナル社(旧:電通イージス・ネットワーク社)の米国拠点Dentsu U.S.が米国において、新型コロナウイルスによる生活者意識の変化を2020年3月下旬から2021年9月にかけて23回にわたり調査したものとほぼ同じ内容を日本国内でも調査したもの。
 前回の9月上旬に引き続き、日本での第18回目の調査を10月上旬、すなわち9月末に自民党総裁選が行われた後、感染者数が大幅に減少、緊急事態宣言が解除された時期に実施した。比較対象である米国の第23回目は9月中旬に調査を行った。
 第18回調査の主なファインディングスは次の通り。なお、一部の調査項目は情勢を鑑みながら追加・変更を行っているため、設問によっては比較可能な項目がある回との対比を行っている。

<主なファインディングス>

1.生活者の心理ステージは、日本でステージ3「順応・適応」からステージ5「収束後の生活へ」の合計が56%と過去最高となり、収束の兆しを感じる人々が増えた。一方、米国では前回調査から若干ステージ後退がみられ、ステージ3~5の合計が55%と、調査開始以降初めて日米の心理ステージが逆転した。

2.コロナ禍の状況認識は、日本では「感染状況は次第に落ち着きを取り戻している」が5割強と過去最高になった。米国は前回と比較すると「次第に落ち着きを取り戻してきていて、対応できている」が増加したものの、今年の5月、6月と比べると「感染状況が悪化している」という認識を持つ人が依然多い。

3.日本におけるワクチンの効果や安全性に対する信用度は「完全に信用する」「ある程度は信用する」の合計が81%と、前回の71%から過去最多を更新。

4.外出時に感じる危険性は、日本では「危険を感じる」が71%と前回より11%減少。一方で米国では「危険を感じる」が前回よりも11%多い38%となった。

5.政府や専門家による安全宣言が出された場合、日本では「すぐには元の生活には戻らず、慎重に様子をみる」が47%と米国の21%を大きく上回る。日本人の慎重な姿勢が伺えた。

6.過去3か月間で利用が増えたメディアは、日本では「オンライン動画」が45%、「スマホゲーム、携帯ゲーム」が40%増加。米国では「SNS」が43%、「テレビ番組」が40%となった。

<詳細結果>

(1)生活者の心理ステージは、日本でステージ3「順応・適応」からステージ5「収束後の生活へ」の合計が56%と過去最高となり、収束の兆しを感じる人々が増えた。一方米国では前回調査から若干ステージ後退がみられ、ステージ3~5の合計が55%と、調査開始以降初めて日米の心理ステージが逆転した。

・新型コロナウイルスの影響下における生活者の心理変容を5つのステージで捉えて傾向を把握。

・日本では、ステージ3、ステージ4が増加し、ステージ3~5の合計が56%と過去最高となった。

・米国は、前回と比べてステージが後退。

(図表1)生活者の心理ステージ

質問:新型コロナウイルスの感染拡大のような公衆衛生上の危機に面した時、人々の気持ちの変化にはいくつかの 「ステージ」があると言われています。今回の新型コロナウイルスの感染拡大があなたの日常生活にどのような影響を与えたかを考えていただき、現在のあなたの状況に最も当てはまるものを1つお選びください。

出典:社会心理学の「キューブラ=ロスモデル」から着想を得て、COVID-19での心理変容に置き換えて定義。ステージ文言などは電通オリジナルで作成。

(2)コロナ禍の状況認識は、日本では「感染状況は次第に落ち着きを取り戻している」が5割強と過去最高になった。米国は前回と比較すると「次第に落ち着きを取り戻してきていて、対応できている」が増加したものの、今年の5月、6月と比べると「感染状況が悪化している」という認識を持つ人が依然多い。

・日本では「感染状況は次第に落ち着きを取り戻している」が前回の9%から53%と過去最高。「手に負えない状況」と感じる人も9%となった。

・米国では、前回の8月と比べると「次第に落ち着きを取り戻してきていて、対応できている」が増加。

(図表2)コロナ禍の状況認識

質問: これまでの国内の新型コロナウイルスの感染状況の経過について、あなたはどう感じますか?以下のうち、最も当てはまるものをお選びください。

(3)日本におけるワクチンの効果や安全性に対する信用度は「完全に信用する」「ある程度は信用する」の合計が81%と、前回の71%から過去最多を更新。

・「完全に信用する」「ある程度は信用する」がともに前回比+5%と大きく伸び、いずれも過去最高となった。

(図表3)コロナワクチンへの信用度合い

質問:新型コロナウイルスのワクチンについて、あなたはどの程度、効果や安全性を「信用」しますか?新型コロナウイルスワクチンについて知っていること・情報を踏まえ、ご回答ください。

(4)外出時に感じる危険性は、日本では「危険を感じる」が71%と前回より11%減少。一方で米国では「危険を感じる」が前回よりも11%多い38%となった。

・日本では今年6月時点の水準にまで回復。米国では「危険を感じる」人が5か月ぶりに30%台に増加した。

(図表4)外出時に感じる危険性

質問:現在、外出することについてどのくらい心配していますか?

(5)政府や専門家による安全宣言が出された場合、日本では「すぐには元の生活には戻らず、慎重に様子をみる」が47%と米国の21%を大きく上回る。日本人の慎重な姿勢が伺えた。

・即座に元の生活に戻る人の割合も日本は10%、米国は41%と大きな差がみられる。

(図表5)政府・専門家による安全アナウンス後の生活

質問:政府や専門家が、コロナ以前の生活に戻っても大丈夫だと宣言した場合、あなたの生活の変化として当てはまりそうなものをお選びください。※元の生活、とはコロナ禍以前の生活を指します。

(6)過去3か月間で利用が増えたメディアは、日本では「オンライン動画」が45%、「スマホゲーム、携帯ゲーム」が40%増加。米国では「SNS」が43%、「テレビ番組」が40%となった。

・日米ともに、新聞・雑誌・ラジオの伸びは少ない。

(図表6)3か月前と比較したメディア利用状況

質問:メディアの視聴・利用についての質問です。3か月前と比べた際、あなたの各メディア利用の増減を教えてください。

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