オプジーボ 2021年度売上収益予想1100億円に向けて順調に伸長  小野薬品相良社長

2022年3月期上期業績は売上収益・利益とも過去最高に

 小野薬品の相良暁社長は1日、2022年3月期中間決算説明会で会見し、オプジーボについて、「上期における11.5%の薬価引き下げの影響は8、9月の2か月間であったが、下期ではまるまる6か月間影響する」と指摘した。その一方で、「胃がん、原発不明がん、食道がんの術後のアジュバントでの新たな拡大もあり、その結果、通期売上収益は1100億円になる」見通しを示した。
 また、「上期は、売上収益・利益ともに過去最高であった」と報告。引き続き過去最高となる2022年3月期連結業績予想(売上収益3450億円、営業利益1030億円、税引前利益1050億円、当期利益815億円)達成に向けて、「オプジーボの肺がん一次治療の使用拡大、8月のフォシーガの慢性腎臓病の適応追加や新製品を成長ドライバーに、順調に推移していく」
 2022年3月期中間決算は、売上収益1741億円(対前年同期比15.7%増)、営業利益582億円(同11.0%)、税引前当期利益592億円(同10.4%増)、当期利益463億円で、売上収益・利益ともに過去最高となった。
 こうした中、がんのうち最も患者数が多く、オプジーボの増収要因の一つである非小細胞肺がんの一次治療における新規患者の処方シェアは25%(本年7月現在)を占める。同分野では、キイトルーダなどの先行品があるものの順調に伸長しており、「2021年度内に30%のシェアを目指す」
 また、本年8月、オプジーボの薬価は、競合品のテセントリクの市場拡大再算定の‟供連れ引き下げルール”により11.5%引き下げられた。
 これまで、免疫チェックポイント阻害剤の市場拡大再算定は、オプジーボ、キイトルーダ、テセントリクが受けており、今後は、イミフィンジ、バベンチオで実施される可能性がある。
 相良社長は、‟供連れ引き下げのルール”について、「業界、行政、中医協も含めて議論の対象になっている。現在は、この議論によりオプジーボの薬価が適切に運用されることを期待している」と明言。従って、「オプジーボの薬価は、再算定を受けていない競合品の影響を受ける可能性はあるが、今のところ具体的に決まっている状況ではない」との見通しを示した。
 相良氏は、オプジーボの胃がんの一次治療(申請中)にも言及し、「今月4日に医薬品部会で審査され、11月中に承認される予定にある」と説明。その上で、「肺がんの一次治療の伸長に加えて、胃がんの一次治療、原発不明がん、食道がんの術後のアジュバントでの新たな拡大も寄与し、2021年度のオプジーボの売上高は1100億円を予想している」と述べた。
 ちなみに、同上半期のオプジーボのロイヤリティは、ブリストル・マイヤーズ スクイブ(BMS)より339億円(対前年同期比47億円増)、メルクより142億円(同28億円増)。
 新製品の現況では、がん悪液質治療薬「エドルミズ」(本年4月21日上市)は、ターゲット施設の7割で採用され使用開始している。医療現場からは、「今までなかった患者さんの体重増加がみられた」、「患者さんが食べるようになった」などの声が寄せられている。今後は、「がん悪液質の病態啓発と、エドルミズの有効性・安全性を訴求し、さらなる拡大を目指す」
 一方、関節機能改善剤「ジョイクル」(5月19日上市)は、副作用の点でアナフィラキシー対策の取れる施設、患者を対象に発売してきた。今後も、「アナフィラキシーに伴う安全性情報提供を中心に、しっかりとディテール活動を展開する」方針を強調した。
  

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