イミフィンジとトレメリムマブ+化学療法の併用療法 非小細胞肺がん一次治療P3試験で好結果  アストラゼネカ

 アストラゼネカは22日、イミフィンジおよびトレメリムマブと化学療法の併用療法について、ステージ IVの非小細胞肺がん(NSCLC)一次治療において、単独の化学療法と比べて無増悪生存期間で 28%、全生存期間で 23%のリスク低下を示したP3相POSEIDON試験結果を明らかにした。
 これらの結果は、国際肺癌学会が主催する 2021 年世界肺癌学会のプレジデンシャルシンポジウムで発表された。
 POSEIDON試験において、イミフィンジと化学療法の併用療法に加え、16週間にわたって抗 CTLA4 抗体であるトレメリムマブによる5サイクルの短期間治療を受けた患者では、さまざまな選択肢のある化学療法と比較して、死亡リスクが 23%低下した(ハザード比[HR]0.77;95% CI0.65-0.92;p=0.00304)。
 OSの中央値は、化学療法群で11.7ヵ月だったのに対して 14.0ヵ月であった。2年を経過した時点においても生存していた患者の割合の推定値は、化学療法群で 22%だったのに対して33%であった。
 この併用療法では、疾患の増悪または死亡のリスクも化学療法の単独療法と比較して 28%低下した(HR 0.72;95% CI 0.60-0.86;p=0.00031)。PFSの中央値は、それぞれ6.2ヵ月および4.8ヵ月であった。
 この併用療法は、イミフィンジと化学療法による併用療法と概ね同様の安全性プロファイルを示し、トレメリムマブを追加したことにより治療の中止は増加されなかった。
 POSEIDON試験では、イミフィンジと化学療法の併用療法についても検証したところ、化学療法の単独療法と比較して、統計学的に有意なPFSの延長を示した(HR=0.74;95% CI 0.62-0.89;p=0.00093)。イミフィンジと化学療法の併用療法で OS の延長傾向は認められたものの、統計学的に有意な延長は確認されなかった。
イミフィンジはP3相PACIFIC試験の結果に基づき、化学放射線療法後の切除不能なステージIII NSCLCの治療薬として承認されている唯一の免疫治療薬である。
 また、米国、ヨーロッパ、日本を含む多くの国々でP3相CASPIAN試験の結果に基づき、進展型小細胞肺がん(ES-SCLC)の治療薬としても承認されている。
 イミフィンジは、肺がんにおける包括的な開発プログラムの一環として、より早期を含めた全てのステージにおけるNSCLC およびSCLC、ならびに他の腫瘍タイプに対する治療薬としても開発中である。
 また、イミフィンジとトレメリムマブの併用療法は、肺がん、膀胱がん、肝がんを対象に臨床試験が現在進行中だ。なお、トレメリムマブは本邦未承認であり、イミフィンジは IV 期のNSCLC に対する適応はない。

◆Sarah Cannon Research Instituteの肺がん研究プログラムのディレクターで、Tennessee Oncology, PLLC腫瘍内科医のMelissa Johnson氏のコメント
 転移性非小細胞肺がん患者さんに影響を与える残されたアンメットニーズにおいて、新しい併用療法、特にPD-L1発現レベルが低い患者さんにおける有効性を高め、CTLA-4 の阻害で観察されてきた長期的な生存期間の延長を実現する可能性のある併用療法がますます重要になっている。 POSEIDON試験の結果は、イミフィンジと化学療法にトレメリムマブを加えれば同疾患における効果的で忍容可能な治療となることを裏付けている。

◆Susan Galbraith アストラゼネカのエグゼクティブバイスプレジデント兼オンコロジーR&D責任者のコメント
 POSEIDON試験のデータは、イミフィンジが患者さんにさらなるベネフィットをもたらしており、新しい併用療法を探索する当社の開発戦略の重要なバリデーションとなっている。
 すでに化学療法を受けている患者さんに対して、イミフィンジにトレメリムマブを短期間追加することで、化学療法の単独療法と比較して、がんの進行または死亡のリスクが 28%低下した。
 また、転移性非小細胞肺がん患者さんの一次治療において、生存期間の有意な延長による忍容性の低下はみられなかった。これらのデータについて、規制当局と話し合うことを楽しみにしている。

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