途上国の保健システム強化目指し新たに4団体とパートナーシップ締結  武田薬品

 武田薬品は24日、グローバル CSR プログラムに 4 つのパートナーシップを追加し、アフリカの医療従事者育成、インドの妊産婦・新生児対象の医療エコシステムの修復など多岐に渡って支援すると発表した。
 その他の支援内容は、南アジアと東南アジアでジェンダー不平等と気候問題に挑む女性リーダー支援、アフリカの国連人道支援物資備蓄庫の拡充など。
 グローバル CSR プログラムでは、途上国や新興国における保健システムの強化や、すべての人が保健医療サービスを受けられるようにするための長期的な取り組みを行っている。支援対象となるパートナー団体は、毎年実施される全世界の同社従業員による投票で決定する。
 今回は、IntraHealth International、Jhpiego、Pathfinder International およびWFP 国連世界食糧計画(国連 WFP)を選出。この 4 団体を加え、同社のグローバルCSRプログラムは、72 か国で20のプログラムまで拡大される。
 2021年度に新たに追加されたパートナーへの支援詳細は次の通り。

• IntraHealth Internationalに9 億5300万円を拠出し、アフリカのマリ、セネガル、ニジェールの私立学校 12 校と提携。これらの国で深刻な医療従事者不足に直面している農村地域に貢献できる資格を持ち訓練を受けた看護師の増員を目指す。
 今後5年間、同プロジェクトを通じ、提携先に選定された私立学校は公的機関と提携し、適切な認定を受け、コンピテンシー(行動特性)に基づくカリキュラムを強化。効果的な学習方法を確立し、適切な学びの環境とシステムを整備することで、十分なサービスを受けられなかった地域出身の学生の卒業を可能にする。
 これらの活動は、すべての人々が医療を受けることができる世界を実現するという取り組みの一環として行われる。

• Jhpiegoが施するIntegrated Women in Health Network(iWIN)に8億9000万円拠出し。このプロジェクトが提供する包括的なアプローチを活用して、インドの断片的な母子保健エコシステムの改善を支援する。
 今後5年間で、同プロジェクトは妊産婦の健康に関する継続的かつ縦断的な追跡プラットフォームを開発して、産前、分娩時、産後のケアにおいて、医療サービスを受ける側の母子を中心とした協調的なアプローチを促進。ケアを分散化および予測分析を活用したハイリスク妊娠の早期発見に繋げる。
 これらのプログラムの要素は、妊婦や母親のニーズに的を絞ったケアを提供し、適切な情報に基づいた意思決定を促す。

• Pathfinder International に 10 億円を拠出し、気候変動や緊急事態が女性の健康に与える不均衡な影響に対応するために、女性と少女たちのリーダーシップを強化するプログラムを推進する。
 南アジアと東南アジアで4年間にわたり展開する同プロジェクトでは、ジェンダー不平等と気候関連の危機によって健康の質が低下している地域において、女性が変革の担い手(チェンジ・エージェント)として活躍できるよう支援する。
 このプロジェクトにより、公平な医療サービスへの受診機会が強化され、気候変動に対する地域社会の回復力が構築され、女性たちがより健康な未来への道を自ら切り開くことができるよう支援する。

• WFP 国連世界食糧計画(国連WFP)のプロジェクトボリアス(Project Boreas)に13 億円を今後5 年間で拠出する。同プロジェクトを通じて、ガーナのアクラにある国連人道支援物資備蓄庫(UNHRD)の収容能力を強化して、西アフリカの17か国で温度に敏感な医療製品をより効率的に受け入れ、保管、輸送できるようにする。
 同プロジェクトでは、地域の物流ナレッジセンターを設立し、サプライチェーンの専門家や中央政府が最高レベルのサプライチェーンの実践トレーニングを受けることで、医療の緊急事態への対処により良く備えられるようにする。

 武田薬品のグローバル CSRプログラムは、2016 年に発足以来、17の国際機関や非政府組織に総額165億円を拠出。「持続可能な開発目標(SDGs)」の23を超えるターゲットに取り組む世界72カ国で実施される長期的な20のプログラムを支援している。
 同社のプログラムの特徴は、世界中で日々患者のニーズや地域のニーズを理解している従業員が支援対象を選ぶことで、武田薬品が支援すべきプログラムを選出し、従業員が自分事として支援している点が挙げられる。加えて、地域性やサービスを受ける人々の視点の重視や、長期的視点に立ったサポートも見逃せない。
 各プログラムは、各国の国内医療ニーズに沿った独自の方法で保健システムの強化に取り組んでいる。このような4~10年間にわたる長期的な支援は、保健医療システムが直面している複雑かつ長期的な課題を即座に解決する方法はなく、持続可能な効果を得るには時間を要することを示している。

 ◆CSR活動やサステイナビリティ、広報分野を統括する大薮貴子チーフ グローバル コーポレート アフェアーズ オフィサーのコメント
 今回、当社のグローバルCSR パートナーとして、IntraHealth International、Jhpiego、Pathfinder International、および国連WFPの4団体とのパートナーシップを新たに構築することができた。
 これにより、資格を有する医療従事者数の増加、サプライチェーンへの変革、気候変動や紛争、緊急事態が女性の健康に及ぼす影響への対応、さらにはデータやデジタルを活用した母子保健における取り組みなどの重要かつニーズの高いプログラムに携わることができ、大変光栄に思う。
 新たなパートナーはすべて、保健システムが今日直面している地域特有の課題に対応し、未来に向けて備える力を地域社会にもたらす意義深い活動をされている皆さんである。

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