オプジーボとヤーボイの併用療法 悪性胸膜中皮腫の一次治療P3試験で好結果  小野薬品

 小野薬品は14日、オプジーボとヤーボイの併用療法について、P3相CheckMate-743試験における切除不能な悪性胸膜中皮腫(MPM)のファーストライン治療において、3年時点で持続的な全生存期間の改善を示したと発表した。
 組織型にかかわらず、オプジーボとヤーボイの併用療法が、プラチナ製剤ベースの標準化学療法と比較して、持続的な生存ベネフィットを示したもの。提携先のブリストル マイヤーズ スクイブ(BMS)が13日に発表した。
 最短3年(35.5カ月)間の追跡調査における結果は次の通り。
3年生存率は、オプジーボとヤーボイの併用療法群で 23%、化学療法群で15%であった。
免疫療法薬の2剤併用療法群は、引き続き死亡リスクを低減し [ハザード比(HR)0.73;95% 信頼区間(CI):0.61 – 0.87)]、化学療法群と比較して、同試験の主要評価項目である全生存期間(OS)の中央値を改善した(併用療法群 18.1 カ月 vs 化学療法群 14.1 カ月)。
 オプジーボとヤーボイの併用療法の安全性プロファイルは、ファーストラインのMPMでこれまでの報告と一貫しており、新たな安全性シグナルは認められなかった。
 これらのデータは、17日に2021年欧州臨床腫瘍学会(ESMO、バーチャル総会)で発表される。
 また、3年間の追跡調査およびプロトコルに基づく無治療の約1年後の時点で、オプジーボとヤーボイの併用療法群では、化学療法群と比較して、より多くの患者で奏効が持続していた。加えて、組織型にかかわらず、免疫療法薬の2剤併用療法群でより長期の奏効期間(DOR)の改善が示された。
 3年時点で、オプジーボとヤーボイの併用療法に奏効した患者の 28%で奏効が持続していたのに対し、化学療法群では0%であった。
 DORの中央値は、免疫療法薬の2剤併用療法群で11.6カ月、化学療法群で6.7 カ月であった。
 奏効率(ORR)は、併用療法群と化学療法群で同等であった(併用療法群 39.6% vs 化学療法群44.0%)。
 オプジーボとヤーボイの併用療法は、切除不能な MPM のファーストライン治療薬として、米国、欧州連合、日本、中国を含む世界の14の保健当局から承認を取得。現在、世界の保健当局により、さらなる申請の審査が進められている。
 オプジーボとヤーボイを含む併用療法による OSの有意な改善は、現在までに、悪性胸膜中皮腫、非小細胞肺がん、転移性悪性黒色腫、進行腎細胞がんおよび食道扁平上皮がんの5つのがん腫を対象とした6件のP3試験で示されている。

◆ローザンヌ大学病院胸部腫瘍科科長およびメディカル・オンコロジー・サービスヘッドのSolange Peters(M.D.、Ph.D.)氏のコメント
 悪性胸膜中皮腫患者さんは、一般的に予後不良で5 年生存率は約10%である。これまで治療選択肢の限られていたこの悪性度の高いがん腫において、今回、オプジーボとヤーボイの併用療法が患者さんの生存期間を延長する可能性だけでなく、化学療法と比較して、このベネフィットが 3 年時点で持続していたことが示された。
 これらの結果は、同併用療法によるアウトカムの持続性をさらに証明している。

◆BMS胸部がん領域、バイスプレジデント兼開発担当Abderrahim Oukessou(M.D.)氏のコメント
 CheckMate-743試験の結果は、医師による悪性胸膜中皮腫の治療法に変化をもたらしてきた。この疾患には、オプジーボとヤーボイの併用療法が承認されるまで、全身療法の新しい選択肢が15年近くなかった。
 非小細胞肺がんにおける4年時点での持続的な全生存期間の改善など、複数のがん腫にわたり、免疫療法薬の2剤併用療法による持続的な生存ベネフィットのさらなるエビデンスが得られている。
 今回、同併用療法は、同じく胸部がんである悪性胸膜中皮腫において全生存期間の長期改善を示し、深刻
な疾患を有する患者さんの生存期間を延長した。

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