細胞用電動ナノ注射器「電気浸透流ナノポンプ」開発  早稲田大学

再生医療や細胞治療への応用に期待

 早稲田大学大学院情報生産システム研究科の三宅 丈雄教授らの研究グループは10日、細胞用電動ナノ注射器「電気浸透流ナノポンプ」を開発したと発表した。
 同グループは、導電性高分子で被覆された金属製ナノチューブシートを開発し、電気を掛けることで電気浸透流が発生して細胞膜を通過する物質の輸送速度を促進させることを発見した。
 さらに、この電気浸透流現象を利用により、安全かつ効率の良い細胞内への物質導入を確認。細胞用電動ナノ注射器「電気浸透流ナノポンプ」開発に至った。
 この導入技術は、物理的にナノチューブを細胞に挿して利用するため、導入する物質の大きさ・形状・電荷を選ぶ必要がない。そのため、さまざまな機能性物質を細胞内に導入することで新たな細胞の種を作り、再生医療や細胞治療への応用が期待される。
 同研究は、早稲田大学大学院情報生産システム研究科と、理化学研究所生命機能科学研究センターの木川隆則チームリーダーおよび美川務専任研究員らで推進されたもの。
 科学研究費補助金、科学技術振興機構(JST)戦略的創造研究推進事業さきがけ「電子・イオン制御型バイオイオントロニクス」(JPMJPR20B8) および研究成果展開事業SCORE大学推進型「高効率な細胞内物質導入スタンプおよび顕微鏡搭載システムの事業化検証」(JPMJST2053)による成果であり、9日に科学誌「Small Science」にオンライン版で公開された。

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