バイエル薬品と臨床試験の効率化・質の向上で基本合意締結 シミックホールディングス

その一環として被験者の併用禁止薬検知システムを稼働開始

 シミックホールディングスは9日、バイエル薬品とデジタル技術等を活用した臨床試験の効率化と質の向上を目指す基本合意書を8月に締結したことを明らかにした。
 近年、臨床試験はますます複雑化の一途を辿り、膨大なデータの蓄積と分析検証、さまざまな規制要件等、多くの課題を抱えながらも、より迅速に新薬開発を進めるために、新たなソリューションの活用・導入による臨床試験の効率化と質の向上が求められている。 同合意に基づき、シミックとバイエル薬品は、今後双方で共同研究や開発の機会について協議し、中長期的なコラボレーションを展開。両社が持つネットワークやノウハウを活用し、イノベーション創出に寄与していく。
 両社の本合意に基づくコラボレーションの先駆けとして、本年8月よりバイエル薬品が実施する循環器領域の臨床試験の3ヵ所の医療機関において、シミックが持つharmo(ハルモ)電子お薬手帳を用いた併用禁止薬検知システムの稼働を開始した。
 同システムは、臨床試験参加者(被験者)への医薬品の処方がharmoに登録されると、併用禁止医薬品を検知した場合に速やかに担当治験コーディネーター(CRC)に通知し、安全性管理を行うというもの。
 併用禁止薬の服用は、被験者の安全性へ悪影響を与えるだけでなく、場合によっては臨床試験の評価に得られたデータが使えなくなるなど臨床試験において大きなインパクトを与える。
 また、禁止とされる医薬品の種類も多いことから、CRCや被験者が適切に把握し、管理する事にも大きな負荷がかかっている。
 今回の併用禁止薬検知システムの活用により、従来はCRCが被験者の安全確認のためアナログで確認してきた併用禁止薬情報がすべて自動的に入手可能となる。これにより、併用禁止薬の服用や見落としによる逸脱を未然に防止し、被験者の安全の確保と意識の向上を図ることで、臨床試験の質の向上が期待できる。
◆大石圭子シミックホールディングス代表取締役社長COOのコメント
 デジタル技術など新たな手段を用いた臨床試験の効率化・質の向上への取り組みは、製薬企業だけでなく、開発業務を受託する我々のような企業が協業することにより、初めて実効性があるソリューションを迅速に生み出すことができると信じている。今回のバイエル薬品との基本合意はその一歩として大変期待している。

◆山中雅仁バイエル薬品研究開発本部クリニカルオペレーション部長のコメント
 医薬品の開発において臨床試験は最も時間のかかるステップであり、いち早く患者さんへ薬を届けるという製薬企業のミッションを果たすうえで、デジタル技術を柔軟に取り入れ臨床試験を効率化していくことは非常に重要な取り組みである。臨床試験の実施において多くの経験を有するシミックとの協業は、双方間の強みをかけあわせた新しい価値創出に繋がると確信している。

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