モデルナ製コロナワクチンの混入異物はステンレススチール 武田薬品が報告

 武田薬品は1日、異物混入で使用見合わ対象となっているモデルナ製の新型コロナワクチン3ロットについて、ロット番号3004667のバイアル内から得られた粒子状物質が316ステンレススチールであると同定されたと発表した。モデルナ社が委託した独立調査機関が分析したもの。同混入異物は、ROVI社が実施した原因調査報告書とも一致した。
 武田薬品およびモデルナ社が医療・安全性上の評価を行った結果、「ワクチン薬液内にステンレススチールがごく少量存在したとしても、被接種者の健康・安全に過度のリスクやワクチンのベネフィット・リスク評価に悪影響を及ぼすことはない」としている。
 これらの結果速報を受けた武田薬品は厚労省と協議し、使用を見合わせた3つのロット(ロット番号3004667、3004734、3004956)につき、9月2日より自主回収に着手する予定を大阪府に報告した。グローバルの製造販売元であるモデルナ社も、この判断を支持している。
 ROVI社が実施した原因調査の報告書では、ロット番号3004667に異物が混入した最も高い可能性の原因として、ワクチン製造ラインのモジュール(ワクチンの打栓を行う過程の機器のひとつ)に取り付けられた二つの金属部品の設置不具合による摩擦を挙げている。
 当該2つの部品は、スターホイールと、ゴム栓をスターホイールに供給するもので、「ロット番号3004667を製造する前の製造ライン切り替え中に不適切に部品が配置されたと考えられる。
 一方、316ステンレススチールは、製造や食品加工の際に一般に使用されるハイグレード(高品質)のステンレススチールで、混入異物と原因に関する調査結果が一致した。
 医療上の安全性の評価については、注射針を通過できる大きさの粒子状金属が仮に筋肉内に注入されてしまった場合、接種された局所における反応をひきおこす可能性があるが、注射部位以外での副反応を起こす可能性は低いと考えられている。
 ステンレススチールは心臓の人工弁や関節置換、金属製の縫合糸やステープルなどの医療機器に用いられおり、当該ロットで見つかったきわめて小さな粒子状金属が仮に筋肉内に注入された場合でも、医療上のリスクが増大する可能性は低いという。
 ワクチン接種後の2件の死亡事例の調査は、現時点では、死亡事例とモデルナ社製ワクチン(ロット番号3004734)接種の因果関係は確認されていない。現在のところ相互の関係なく偶発的に生じたものと考えられている。武田薬品では、今後も、因果関係の有無に関する正式な調査を実施していく。
 モデルナ社のCOVID-19ワクチンは、現在までに45カ国で2億回以上、1億1,000万人以上に接種されており、新型コロナウイルス感染の収束に向けた世界的な闘いにおいて、重要な一要素となっている。
       

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