「柿田」と言う姓は検索サイトによると全国順位3068位、4300人(世帯?)ほどしかいないそうです。昔から柿と田んぼって意味わからんなあ、パッとしないなあと思っていましたが、マイナーな苗字で良かったと思う出来事がありました。
当家のルーツは熊本県なのですが、昨日阿蘇郡の面識の無い方から祖父に関連したお手紙をいただきました。家の整理をしていたら、昭和14年に私の祖父から先方のお祖父様にあてた遺書が見つかったということで同封して下さったのです。
遺書の内容は自分亡き後の家族に関するお願いごとでした。私の祖父は父が中学生の時に胃癌で他界しており、当然私は会ったことがなく、さして特別な感情を抱いたことはありませんでした。しかし82年前の直筆の文章を読むことができ初めて、実在した、家族思いの人物であったのだと身近に感じることができました。
叔母(89歳)に確認したところ、先方のお祖父様は、当家遺族一同が大変お世話になった方だと分かりました。母(89歳)も偶然その方を存じ上げておりました。私の父(小児科医)と母(看護師)が勤務していた八代の病院の院長をしておられた方だそうです。父と母の出会いの場でもあった病院です。
祖父同士は旧制中学校の濟々黌(現在は高校)の同窓の医師で、遺書に息子(私の父)も同校に入れたいという記載があったため、送り主の方はわざわざ過去の濟々黌同窓会名簿から父を見つけ出し、杉並区で開業医となった情報を得られて、インターネットで当院を検索して私宛に送ってくださったのです。なんと奇特で尊い行ないでしょう。自分だったら他の書類とまとめて処分して終わりにしてしまいそうです。祖父の直筆の文字を読めたことも嬉しかったですが、送り主の方のお気持ちはさらに私の心を温かくして下さいました。
これが山田さんや佐藤さんだったら、同窓会名簿ではおそらく父を特定できず、果たしてうちにお手紙をいただけただろうかと考え、ちょっと変な苗字で良かったなと初めて思えたのでした。