アトゲパント 片頭痛予防P3試験の12週間投与期間で好結果  アッヴィ

 アッヴィは24日、アトゲパントについて、反復性片頭痛の基準を満たす成人を対象に同剤の片頭痛予防効果を評価したP3相ADVANCE試験の12週間投与期間において好結果を得たと発表した。同試験結果は、ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン(NEJM)に掲載された。
 ADVANCE試験には1ヵ月当たりの片頭痛日数が4~14日である成人患者が登録され、主要評価項目である12週間の投与期間を通した平均月間片頭痛日数は、プラセボ群に比べてすべての用量(10mg、30mgおよび60mg、1日1回)のatogepant群で統計学的に有意に減少した。
 また、同試験では、平均月間片頭痛日数が50%以上減少した患者の割合もプラセボ群に比べてすべての用量のatogepant群で高く、その他の重要な副次評価項目も達成された。
 アトゲパントは、開発段階にある経口投与用のカルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)受容体拮抗薬(ゲパント系薬剤)で、現在、FDAが審査している。承認された場合、反復性片頭痛の予防的治療薬として開発された最初で唯一の経口ゲパント系薬剤になる。
 ADVANCE試験の主要評価項目は、12週間の投与期間を通した平均月間片頭痛日数のベースラインからの変化であった。
 すべての用量(10 mg、30 mgおよび60mg)のアトゲパント群で主要評価項目が達成され、プラセボ群に比べて平均月間片頭痛日数が統計学的に有意に減少した。アトゲパント10 mg、30 mgおよび60mg群の患者では、それぞれ3.7日、3.9日および4.2日減少したのに対して、プラセボ群の患者では2.5日の減少であった(プラセボ群と比較して全用量群でp<0.0001)。
 ADVANCE試験で事前に規定した多重性制御副次評価項目について、12週間の投与期間を通して認められた有効性の結果は次の通り。
●アトゲパント10mg、30 mgおよび60mg群の患者では、平均月間頭痛日数がそれぞれ3.9日(ベースライン時8.4日)、4.0日(ベースライン時8.8日)および4.2日(ベースライン時9.0日)減少したのに対して、プラセボ群の患者では2.5日(ベースライン時8.4日)の減少であった(全用量群でp<0.0001)。

●すべての用量のアトゲパント群でプラセボ群に比べて急性期頭痛薬の使用日数がベースラインから有意に減少し、アトゲパント10 mg、30mgおよび60mg群ではそれぞれ3.7日、3.7日および3.9日減少したのに対して、プラセボ群では2.4日の減少であった(全用量群でp<0.0001)。

●12週間の投与期間を通して1ヵ月間の片頭痛日数が50%以上減少した患者さんの割合は、アトゲパント10mg、30mgおよび60mg群ではそれぞれ55.6%、58.7%および60.8%であったのに対して、プラセボ群では29.0%であった(プラセボ群と比較して全用量群でp<0.0001)。

●12週時の片頭痛特有の生活の質に関する質問票第2.1版(Migraine-Specific Quality of Life Questionnaire: MSQ v2.1)の役割機能制限ドメインスコアは、すべての用量のatogepant群でプラセボ群に比べて有意に改善した(9.9、10.1および10.8ポイントの改善、全用量群でp<0.0001)。

●AIM-Dの日常活動実施能力ドメインの平均月間スコアは、30 mgおよび60 mg群でプラセボ群に比べて有意に改善し、30 mg群で-2.5ポイント(p=0.0005)、60 mg群で-3.3ポイント(p<0.0001)であった。

●日常活動実施能力ドメインと同様、AIM-Dの身体障害ドメインスコアも30 mgおよび60 mg群でプラセボ群に比べて統計学的有意に改善し、30 mg群で-2.0ポイント(p=0.0021)、60 mg群で-2.5ポイント(p=0.0002)であった。

 一方、すべての用量で忍容性は良好であった。最も高頻度(少なくとも1つのアトゲパント群で5%以上、かつプラセボ群より高い割合)に報告された有害事象は、便秘(アトゲパント群全体6.9~7.7%、プラセボ群0.5%)、悪心(アトゲパント群全体4.4~6.1%、プラセボ群1.8%)および上気道感染(アトゲパント群全体3.9~5.7%、プラセボ群4.5%)であった。便秘、悪心および上気道感染の大部分が軽度または中等度であり、投与の中止には至らなかった。

 ◆アッヴィのニューロサイエンス開発担当バイスプレジデントのMichael Gold氏(医学博士)のコメント

 世界中で非常に多くの人々が、身体機能を制限することもある片頭痛の問題に直面しており、患者さんや介護者、医療システムに負担が生じることもある。
 アッヴィでは、持続性片頭痛の新たな治療選択肢の開発に向けて懸命に取り組んでいる。今回発表したデータは、アトゲパントが片頭痛の予防的治療薬の選択肢としての可能性に対する我々の自信をさらに深めるものである。

 ◆カリフォルニア大学ロサンゼルス校およびキングス・カレッジ・ロンドン大学の教授でNEJM掲載のADVANCE試験論文著者Peter Goadsby氏(神経内科医)のコメント
 片頭痛の症状は頻度および重症度に個人差があり、発作ごとにも異なるため、患者さんの日常生活に多様な影響を及ぼす可能性がある。
 ADVANCE試験で使用された新しい機能評価尺度であるAIM-Dおよび片頭痛特有の生活の質に関する質問票は、日常活動および日常機能の実施能力に対する片頭痛の影響を評価する上で有用であった。これらのデータは、主要評価項目およびその他の副次評価項目とともに、片頭痛患者さんの治療薬候補としてのアトゲパントの理解を深めるのに役立つ。

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