経口TYK2阻害薬TAK-279 尋常性乾癬対象P2b試験で好結果 武田薬品

 武田薬品は18日、TYK2阻害薬として開発中のTAK-279について、中等度から重度の尋常性乾癬を対象としたP2b試験において良好な試験結果を得たと発表した。
 TAK-279は、1日1回経口投与の高度に選択的な経口アロステリックチロシンキナーゼ2(TYK2)阻害薬である。同試験では、12週時点で、PASI 75、90、100を達成した患者の割合がプラセボ投与群と比較して、TAK-279の5 mg、15 mg、30 mgの各投与群で統計学的に有意に高く、主要評価項目と副次評価項目を達成した。
 これらのデータは、3月17~21日にニューオーリンズで開催している米国皮膚科学会(AAD)年次総会のLate-Breaking Sessionで発表された。
 P2b試験では、259名の患者を4用量のうちのいずれかのTAK-279の1日1回投与またはプラセボに無作為に1:1:1:1:1に割付け、12週間の投与を行った。
 その結果、TAK-279群のPASI 75達成率(5 mgで44%、15 mgで68%、30 mgで67%)はプラセボ群(6%)と比較して有意(p<0.001)に高く、試験の主要評価項目を達成した。
 TAK-279群のPASI 90達成率(5 mgで21%、15 mgで45%、30 mgで46%)はプラセボ群(0%)と比較して有意(p<0.001)に高く、TAK-279群のPASI 100達成率(5 mgで10%、15 mgで15%、30 mgで33%)は、TAK-279 30mg群でプラセボ群(0%)と比較して有意(p<0.001)に高いことが示された。
 TAK-279群の12週時点での医師総合評価(Physician Global Assessment;PGA)スコアでスコア0/1を達成した患者の割合(5 mgで27%、15 mgで49%、30 mgで52%)は、プラセボ群(4%)と比較して有意(p≤0.001)に高く、スコア0を達成した患者の割合(5 mgで10%、15 mgで15%、30 mgで33%は、TAK-279 30mg群でプラセボ群(0%)と比較して有意(p<0.001)に高いことが示された。
 PGAスコア1は皮膚病変のほぼ完全な消失を示し、0は完全な消失を示しす。TAK-279 2 mg群では、プラセボ群と比較して、PASIまたはPGA奏効率(PASI 75:18%、PASI 100:2%、PGA 0/1:10%、PGA 0:2%)における統計学的有意差は認められなかった。
 有害事象(AE)の頻度は、治療群で53~62%、プラセボ群で44%であった。殆どの事象は軽度から中等度であった。1例(15 mg)で2件の重篤なAEが発生したが、治験薬投与との関連はなしと判断された。臨床検査値パラメータの変化は、アロステリックTYK2阻害薬の既知の作用と一致していた。
 武田薬品は、これらのP2b試験の結果に基づき、乾癬を対象としたTAK-279のP3試験を2023年度に開始する予定である。2023年度に乾癬性関節炎を対象としたP2b試験のトップライン結果の取得を見込んでおり、全身性エリテマトーデス(SLE)や炎症性腸疾患(IBD)を含む他の複数の免疫介在性疾患領域を対象としてTAK-279を評価する予定で、今後はさらなる適応症を探索する。
 なお、同P2b試験結果が、同社の2023年3月期(2022年度)通期連結業績予想に及ぼす影響はない。

◆臨床第2b相試験の治験責任医師April Armstrong氏(University of Southern California皮膚科副学部長兼教授、M.D., MPH)のコメント
 本P2b相TAK-279試験の結果から、全体的に強力な臨床的ベネフィットが示され、重要なことに多数の患者さんがPASI90または100に到達し、皮膚病変のほぼ完全または完全な消失を達成した。
 これらの結果は、現在の治療法で最適な皮膚病不変の消失を達成していない中等度から重度の尋常性乾癬の患者さんにとって、高度に選択的なTYK 2阻害が有効かつ利便性の高い経口薬として治療選択肢となる可能性をさらに支持するものである。今後の臨床試験の結果にも期待を寄せている。

◆アンディ・プランプ武田薬品リサーチ&デベロップメント プレジデントのコメント
 これらの説得力のあるTAK-279のデータは、中等度から重度の尋常性乾癬患者さんに対する治療薬になる可能性を強固にしている。TAK-279で認められる高度に選択的なTYK2阻害により、ヤヌスキナーゼ(JAK)ファミリーの他のキナーゼが阻害されないため、JAKに関連する毒性を回避できると考えている。
 炎症性腸疾患を含む免疫介在性疾患に強みを有する当社は、幅広い開発プログラムを実施し、患者さんにベストインクラスとなる可能性のある薬剤をお届けできると信じている。

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