アストラゼネカは16日、 SGLT2阻害剤フォシーガについて、欧州で2 型糖尿病の有無に関わらず、成人の慢性腎臓病(CKD)の治療薬として承認を取得したと発表した。
フォシーガは、米国でも2型糖尿病合併の有無に関わらず、成人のCKD 治療薬として承認を取得している。現在、日本およびその他の国で承認審査中である。また、同剤は、成人2型糖尿病の血糖コントロールを改善する食事および運動療法の補助療法、および、2 型糖尿病合併の有無に関わらず、左室駆出率が低下した成人の慢性心不全の治療薬としても承認されている。
欧州委員会による今回の承認は、P3相DAPA-CKD 試験の良好な結果に基づいており、欧州医薬品庁医薬品委員会の承認勧告に続くもの。
CKDは、腎機能の低下によって定義される病態で、その多くが心疾患や脳卒中の発症リスクの増加と関連している。欧州で約4700万人、世界で8億4000 万人がCKD に罹患していると推定されている。
だが、その診断率は低く、90%の患者は罹患していることに気が付いていない。
P3相DAPA-CKD試験においてフォシーガは、CKD ステージ2~4、かつ、尿中アルブミン排泄の増加を認める患者を対象に、ACEi もしくは ARB との併用で、腎機能の悪化、末期腎不全への進行、心血管死または腎不全による死亡のいずれかの発生による複合主要評価項目のリスクを、プラセボと比較して、39%低下させた (絶対リスク減少率[ARR]=5.3%, p<0.0001) 。
また、フォシーガは、プラセボと比較して、全死亡のリスクを有意に 31%低下させた(ARR=2.1%, p=0.0035) 。
フォシーガの安全性と忍容性は、過去確認された安全性プロファイルと一貫していた。
◆DAPA-CKD試験治験運営委員会共同代表者Hiddo L. Heerspink氏(オランダグロニンゲン大学医療センター教授)のコメント
この承認により、フォシーガは、欧州で2型糖尿病の有無に関わらない、CKD に適応を持つ初めての SGLT2阻害剤となった。P3相DAPA-CKD試験結果に基づき、フォシーガは、疾患の進行を抑制し、医師に予後改善の機会をもたらす。
◆バイオファーマ研究開発部門担当エグゼクティブバイスプレジデントのMene Pangalos氏のコメント
本承認は、フォシーガにとって重要な機会である。本承認により、欧州における何百万ものCKD患者さんの治療が大きく変わる可能性がある。
当社は、フォシーガのような新薬によって標準治療を向上するとともに、患者さんを衰弱させ、生命を脅かすCKDの予防および早期診断にも取り組んでいる。