PTP包装廃材再生利用及びCO2排出少量輸送で企業間連携 武田薬品、オリックス環境、JR貨物

 武田薬品、オリックス環境、JR貨物の3社は25日、武田薬品が製造する医療用医薬品の製造過程で生じるPTP包装廃材のリサイクルとその輸送における環境負荷低減で連携し、6月1日より取り組みを開始すると発表した。
 武田薬品、オリックス環境、JR貨物は、再生利用およびよりCO2排出の少ない輸送手段への切り替えにより、循環型社会への貢献に加えて、CO2排出量の削減も目指す包括的な取組みを進めていく。
 武田薬品は、産業廃棄物処分業許可を有するオリックス環境に委託し、廃棄物処理委託によるPTP包装廃材の再生利用(マテリアルリサイクル)を、製薬企業として国内で初めて開始する。
 武田薬品の光工場(山口県光市)から排出される年間約101トンのPTP包装廃材のうち約95%にあたる約96トンを再生利用する予定である。同社は、これまで自社工場から排出される産業廃棄物の処理を外部委託するPTP包装廃材は、焼却のうえ、焼却時の熱エネルギーの回収および残渣の再利用をするサーマルリカバリーを行ってきた。
 今後は、PTP包装廃材のプラスチックとアルミニウムという異なる材質を完全剥離することで、アルミニウム、プラスチックとしての再生利用を進めていく。
 オリックス環境は、2023年1月~3月の期間、剥離設備を使って武田薬品のPTP包装廃材の実証実験を実施した。その結果、プラスチックとアルミニウムを完全に剥離し、再生利用が可能であることを実証した。2023年5月11日には国内で初めてPTP包装廃材などの剥離に伴う産業廃棄物処分業の許可を取得している。
 JR貨物は、環境負荷の小さい貨物鉄道輸送サービスを提供する。PTP包装廃材について、これまでのトラック輸送に替えて、武田薬品の光工場からオリックス環境の産業廃棄物処理工場(千葉県船橋市)への輸送の大部分でJR貨物による輸送への切り替え(モーダルシフト)を行い、CO2排出量の削減に努める。
 具体的には、武田薬品光工場でPTP包装廃材をJR12ftコンテナに積載して、新南陽駅(山口県周南市)から隅田川駅(東京都荒川区)まで貨物鉄道輸送を行う。

◆グレッグ・ティモンズ武田薬品のグローバル マニュファクチャリング&サプライジャパン ヘッドのコメント
 当社は、我々が目指す未来ビジョンに向けた約束の一つとして、「いのちを育む地球のために、自然環境の保全に寄与する」を掲げている。今回のオリックス環境およびJR貨物との企業間連携に合意できたことを嬉しく思うとともに、今後も製造活動において環境負荷低減を目指した取り組みを進め、当社のサステナビリティコミットメントの実現を目指す。

◆山下英峰オリックス環境取締役社長
 当社は、全国で1000社を超える廃棄物事業者との提携ネットワークを活用し、顧客にリユース・リサイクル・適正処理におけるソリューションを幅広く提供している。
 今回、武田薬品およびJR貨物と、画期的な再生利用を推進できることを喜ばしく思います。今後も、顧客への最適なソリューションの提供を通じて、持続可能な循環型社会の実現に貢献していきたい。

◆和氣総一朗JR貨物執行役員鉄道ロジスティクス本部副本部長営業部長
 当社は、環境負荷が最も小さい輸送機関である特性を活かし、お客様や物流事業者の方々と協働してグリーン社会の実現に取り組んでいる。PTP包装廃材を武田薬品およびオリックス環境と連携して輸送することで、循環型社会の形成に貢献できることを光栄に思う。当社は引き続き「環境先進企業」を目指していく。

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