脳神経外科用シミュレーションソフトウェア「GRID」販売 長瀬産業

「GRID」の操作画面と、画面上に再現された脳の3次元可視化画像

 長瀬産業は、Kompathが開発した脳神経外科用シミュレーションソフトウェア「GRID」(グリッド)を国内の医療機関に向けて販売開始した。今後は、NAGASEグループが有する医療現場のネットワークを活用し、海外の医療機関にも販売していく。
 「GRID」は、手術、治療の検討への活用ができ、ディープラーニングなどの画像処理技術を駆使して開発された脳神経外科用シミュレーションソフトウェアだ。主な機能として、①位置の異なる複数の画像間の位置合わせを行う「位置合わせ機能」、②画像から組織の特定部分を抽出する「セグメンテーション機能」、③手術前の検討作業を可視化する「シミュレーション機能」がある。
 これらの機能は、Kompathが強みとするディープラーニングをはじめとしたAI技術を駆使して、東京大学医学部附属病院脳神経外科が有する医用融合3次元画像の技術やノウハウを学習することで実現した。
 さらに、作成した組織モデル(血管や神経など)や3次元画像のデータを出力することで、他の画像診断ソフトウェアや手術ナビゲーションシステムとの連携も可能だ。
 従来、診断には手術前にX線CTやMRIなどで撮影された医用画像が用いられてきたが、近年では、医用画像を立体的にディスプレイ上で可視化することで、診断に広く利用される機会が増えてきた。特に、脳神経外科領域では、微細な組織を手術対象とするため、高精細の可視化が求められている。
 そこで、これまで医師・医療従事者が手動で行っていた医用画像の3次元可視化作業を「GRID」の導入を通じて自動化・簡便化することで作業負担を軽減し、シミュレーションに集中できる環境づくりに貢献する。
 特に、「シミュレーション機能」では、可視化された脳、骨、血管や神経などの組織の情報を使用して、開頭や組織移動(脳や血管などを移動させること)のような操作を仮想的に行うことが可能である。同機能は、医療従事者間や患者に対する手術方法の説明等コミュニケーションへの活用にも期待される。
 今後は、シミュレーションを必要とする脳神経外科以外の他科における本技術の活用を推進していく。

シミュレーションの様子
タイトルとURLをコピーしました