リムパーザ 高リスク早期乳がんP3試験で術後補助療法の有用性  アストラゼネカ

 アストラゼネカは10日、リムパーザについて、高リスク早期乳がん患者を対象としたP3相OlympiA試験において、術後補助療法で浸潤性疾患のない生存期間(iDFS)の統計学的に有意で臨床的に意義のある延長を示したと発表した。
 対象は、生殖細胞系列 BRCA 遺伝子変異陽性(gBRCAm)かつヒト上皮成長因子受容体 2(HER2)陰性の高リスク早期乳がん。
 同試験結果は、本年 6 月 3 日に The New England Journal of Medicine 誌に掲載され、6 日開催の 2021 年米国臨床腫瘍学会(ASCO)年次集会の総会で報告された。
 2020年には、世界中で推定 230万人が乳がんと診断され、乳がん患者さんの約 5%に BRCA遺伝子変異が認められている。
 試験結果から、局所治療および標準的術前または術後補助化学療法を完了した患者の試験対象集団全体で、リムパーザが浸潤性乳がんの再発、二次がんまたは死亡のリスクを42%低減することが示された(ハザード比[HR]=0.58、99.5%信頼区間[CI]:0.41〜0.82、p<0.0001)。
 3年時点で浸潤性乳がんまたは二次がんの発現なしで生存していた患者の割合は、プラセボ群で 77.1%だったのに対し、リムパーザ投与群で 85.9%であった。
 試験対象集団全体でリムパーザ投与群は、主要な副次評価項目である遠隔転移を伴わない生存期間(DDFS)においても、統計学的に有意で臨床的に意義のある延長を示し、遠隔転移再発または死亡のリスクを 43%低減した(HR=0.57、99.5% CI:0.39〜0.83、p<0.0001)。
 今回の初回のデータカットオフ時点で、リムパーザ投与群で低い死亡率を示したが、全生存期間(OS)に統計学的有意差は認められなかった。
 同試験では、今後も副次評価項目として全生存期間(OS)の評価を継続する。
 本年2月、独立データモニタリング委員会(IDMC)は、OlympiA 試験について早期の主要解析および報告を行うよう勧告した。事前に規定された中間解析に基づき、IDMC は、同試験の主要評価項目であるiDFS について優越性の基準をクリアし、プラセボと比較してリムパーザでは、臨床的に意義のある治療効果が持続的に認められることを立証したと結論付けた。
 OlympiA試験におけるリムパーザの安全性及び忍容性プロファイルは、これまでの臨床試験で認められた内容と一致していた。
 主な有害事象(AE)は、悪心(57%)、疲労(40%)、貧血(23%)および嘔吐(23%)であった。
 グレード3以上の有害事象は貧血(9%)、好中球減少(5%)、白血球減少(3%)、疲労(2%)および悪心(1%)であった。
 リムパーザの投与を受けた患者の約10%が、有害事象により投与を早期中止した。
 OlympiA試験は、世界中のBreast International Group(BIG)が調整を行い、NRG Oncology、米国国立がん研究所(NCI)、Frontier Science & Technology Research Foundation(FSTRF)、アストラゼネカおよび MSD の連携下で実施されている国際共同P3相臨床試験である。なお、同試験は、米国では NRG Oncology、米国外ではアストラゼネカが主体となり実施している。
 リムパーザは、化学療法による治療歴のある生殖細胞系列BRCA遺伝子変異陽性かつHER2陰性の転移性乳がんの適応症で米国、日本を含む多くの国で承認されており、EU では、局所進行乳がんも含まれる。
 BRCA遺伝子変異陽性乳がんにおける術後補助療法に対するリムパーザの適応は、本邦では未承認である。

 ◆Facing Our Risk of Cancer Empowered(FORCE)の Executive Directorで、OlympiA試験運営委員会メンバーのSue Friedman氏のコメント
 乳がんの初期治療は大きな進歩を遂げてきたが、患者さんはがん再発への恐怖を依然として強く抱えている。がんの再発を防ぎ、患者さんを不安にさせないよう、術後補助療法における新規の標的治療が必要とされている。

 ◆OlympiA 試験運営委員会の委員長でOncology at The Institute of Cancer Research,
London and Kings College London 教授のAndrew Tutt 氏のコメント
 OlympiA試験における世界的な大学と産業界のパートナーシップが、BRCA1 またはBRCA2遺伝子変異を有する早期乳がん患者さんに対する新たな治療選択となり得る治療薬の特定につながったことに興奮している。
 遺伝性のBRCA変異を有する早期の乳がん患者さんは、変異のない患者さんと比較して、通常よりも若年で乳がんと診断される。リムパーザは、遺伝子検査によってこれらの遺伝子変異が確認された多くの患者さんにおいて、生命を脅かす再発やがんが広がる確率を低減するために、乳がんのあらゆる標準的な初期治療後に使用される可能性がある。

 ◆アストラゼネカエグゼクティブバイスプレジデント兼オンコロジービジネスユニット責任者のDave Fredrickson氏のコメント
 今回初めて、BRCA 遺伝子変異を標的治療とした薬剤が、早期乳がんの経過に変化をもたらす可能性を示し、治癒への希望をもたらした。
 これらの高リスク患者さんに乳がん再発のリスクを大幅に低減する治療薬の提供により、リムパーザが持続的な臨床効果を示し、新たな基準を打ち立てることを期待している。これらの患者さんに一刻も早くリムパーザをお届けできるよう、規制当局と協力していく。

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