新型コロナワクチンの国内・ワクチン接種会場への流通体制形成  武田薬品

 武田薬品は21日、日本での製造販売承認を取得した新型コロナウワクチン(COVID-19ワクチンモデルナ筋注)について、近鉄エクスプレス、日本航空(JAL)などと欧州ベルギーから日本までの輸送から国内の接種会場への流通を本格的に開始すると発表した。同流通で協働するのは、近鉄エクスプレス、JAL以外に、関西エアポート、三菱倉庫、日本医薬品卸売業連合会に所属する会員構成員企業40社(地域担当卸)、メディパルホールディングスがある。24日から自衛隊運営の東京・大阪の大規模接種センターなどでモデルナ製ワクチンの接種が始まる予定だ。
 同ワクチンの保管温度はマイナス20度±5度と厳格な管理が求められており、厚生労働省、Moderna社および武田薬品間で締結された日本における供給に関する三者間の契約に則り、各社との協働により安全かつすみやかに医療機関等の接種会場へ届られるよう、国内での供給体制を構築してきた。
 その結果、厳格な温度管理と適切な輸送を実現するワクチンのコールドチェーン流通網の形成を実現している。
 近鉄エクスプレスは、フォワーダー(利用運送事業者)として欧州から日本までの国際輸送業務全般を請け負う。日本・欧州のメンバーからなるプロジェクトチームを結成し、グローバルで蓄積しているノウハウの共有や入念な輸送計画、リスク分析、テスト輸送を含め十分な準備を整えると同時に、JALなどの国内外協力会社との綿密な連携により、同ワクチン輸送を安全かつ迅速に行う体制を構築していく。
 JALは、日本初の国際線医薬品輸送を実施して以降、医薬品の種類ごとに求められる多様な輸送環境の確立と、品質管理を実現するマニュアル設定・人財育成・独自の定温コンテナの開発などを通して、安全でシームレスな航空物流を追求してきた。
 同ワクチン輸送は、同社旅客定期便が就航していないブリュッセル空港からの運航となるものの、徹底した温度管理、輸送時間・貨物状態のモニターによる高品質な貨物ハンドリングを提供していく。
 関西エアポートは、同ワクチンの国内最初の窓口となる空港において、安全かつ確実な輸入、および搬送を行うため、関係者と共にタスクフォースを立ち上げ、迅速と安全な輸送をコンセプトに、ワクチン輸送のリードタイムを極力短くするサポート体制を整えている。
 三菱倉庫は、医薬品物流サービスを40年近くにわたって手掛けており、グループ全体では1000人以上が医薬品物流に従事している。これまでの経験によって培われた厳格な温度管理やセキュリティ等に関する専門知識を活かし、本ワクチンの全国にある医薬品卸業者への安定的な供給を行う。
 メディパルの事業会社および協力会社(ほくやく、よんやく、中澤氏家薬業)は、医療用医薬品卸売業としての実績・経験を活かし、 全国に配置した16配送センターを核とする国内コールドチェーン流通体制構築への協力、および大規模接種会場や地域担当卸の配送センターへの保管・配送を担う。今後、日本医薬品卸売業連合会に所属する会員構成員企業40社が、同ワクチンの地域担当卸として国内の医療機関等の接種会場までの保管・配送を行う。
 武田薬品は、同ワクチンの日本国内における開発、供給、およびノババックス社の新型コロナウイルス感染症ワクチン候補であるTAK-019の開発、製造、供給を通じ、2種類の新型コロナワクチンの日本での供給に取り組んでいる。
 また、厚労省ならびに日本医療研究開発機構(AMED)より、モデルナ社ならびにノババックス社が開発中の新型コロナウイルス感染症ワクチンを日本国内において開発・供給するための助成を受けている。

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