小野薬品は20日、オプジーボと抗LAG-3抗体Relatlimabの固定用量配合剤での併用療法について、オプジーボ単剤療法と比較して、未治療の転移性または切除不能な悪性黒色腫患者で統計学的に有意かつ臨床的に意義のある無増悪生存期間(PFS)のベネフィットを示したと発表した。提携先のブリストル マイヤーズ スクイブ(BMS)が19日にP2/3相RELATIVITY-047試験結果に基づいて公表したもの。
同併用療法は、転移性悪性黒色腫において、統計学的に抗PD-1単剤療法を上回るベネフィットを示した初めてのレジメンである。
PFSの中央値は、併用療法群で10.12カ月 [95% 信頼区間(CI): 6.37-15.74]、オプジーボ単剤療法群で4.63カ月(95% CI:3.38 – 5.62)で、併用療法群で有意に延長した[ハザード比(HR)0.75, 95% CI: 0.62 – 0.92, p=0.0055]。
同併用療法群のPFSのベネフィットは、初回スキャン時の早い段階から認められ、追跡調査の期間中、一貫して示された。探索記述的解析において、Relatlimabとニボルマブの併用療法は、あらかじめ定義されたサブグループおよび層別化因子にかかわらず、PFSを延長した。
これらの結果は、抗LAG-3抗体を評価したP3相試験として初めて、2021年米国臨床腫瘍学会(ASCO)年次総会で6月6日に発表される。
Relatlimabとニボルマブの固定用量配合剤による併用療法の安全性プロファイルは管理可能であり、オプジーボとRelatlimabでこれまでに報告されたものと一貫していた。
同併用療法に関して、オプジーボ単剤療法と比較して、新たな安全性シグナルまたは臨床的に重要な新たな事象は認められなかった。グレード3~4の薬剤に関連する有害事象が、併用療法群の18.9%、オプジーボ単剤療法群の9.7%で発現した。投与の中止につながる薬剤に関連する有害事象が、併用療法群の14.6%、オプジーボ単剤療法群の6.7%で発現した。
リンパ球活性化遺伝子3(LAG-3)とプログラム細胞死1(PD-1)は、2つの異なる抑制性免疫チェックポイントで、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)上に同時発現する場合が多く、腫瘍を介したT細胞の疲弊に関与する。
新規の抗LAG-3抗体のRelatlimabとPD-1阻害薬のニボルマブによる併用療法は、T細胞の活性化を可能にすることで、改善した免疫応答を惹起し、腫瘍の細胞死を促進する。
Relatlimab(ニボルマブとの併用療法)は、P3相試験で患者に対するベネフィットを示した初めての抗LAG-3抗体で、BMSにとって、3つ目のチェックポイント阻害薬(抗PD-1および抗CTLA-4と併せて)になる。
世界的に、悪性黒色腫の発生率は、過去30年間にわたり上昇している。WHOは、2035年までに悪性黒色腫の罹患者数が42万4102人に達し、関連死亡者数は9万4308人に上ると推定している。
BMSは、様々ながん腫を対象とした数件の進行中の試験において、Relatlimabの併用療法を評価している。
◆ダナファーバーがん研究所メラノーマセンター長、がん免疫療法センター長のF. Stephen Hodi氏(M.D.)のコメント
LAG-3は、免疫療法の新たな標的である。RELATIVITY-047試験の結果では、Relatlimabとオプジーボの新しい併用療法によってLAG-3とPD-1を両方阻害することの有意なベネフィットが示された。
確認された有効性と安全性のプロファイルに基づき、Relatlimabの併用療法は、転移性悪性黒色腫患者の重要な新しい治療選択肢となる可能性がある。