新型コロナ流行と新規変異株早期検知目的に大阪府で下水疫学調査開始 北海道大学と塩野義製薬

 北海道大学と塩野義製薬は14日、大阪府の協力を得て、15日より下水疫学に基づく新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のモニタリングを開始すると発表した。同モニタリングは、ウイルス感染症流行及び新規変異株の早期検知を目的に社会実装として実施されるもの。
新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)は、感染者の糞便中から高い割合で検出されている。下水処理場の流入下水中のウイルスをモニタリングすることで、集団レベルの疫学情報を取得する「下水疫学調査」の研究及び社会実装が世界中で加速している。欧米の一部の国・地域においては、COVID-19の流行状況の早期検知や収束判断、感染・増殖能の高い変異株の侵入・発生動向確認に活用されている。
 だが、日本は、欧米と比較して人口当たりの感染者数が少なく、下水中SARS-CoV-2濃度が低いことから、社会実装に向けてはより高感度なウイルス検出法及び大量検査が可能なインフラの構築が課題となっていた。
 そこで,北海道大学及び塩野義製薬は、これらの課題を克服し得る下水中SARS-CoV-2の高感度検出技術を共同開発するとともに、検出工程の自動化を実現した。なお、これまでに下水処理場の流入下水中から感染性を有するSARS-CoV-2が検出されたという報告はない。
 今回、大阪府(大阪市域は大阪市)による検体採取協力のもと、北海道大学及び塩野義製薬で共同開発した高感度ウイルス検出法、またその検出法によりRBI(ロボティック・バイオロジー・インスティテュート、東京都)、iLAC(茨城県つくば市)を加えた4者間で構築したハイスループットで下水中のウイルス量測定及びゲノム解析(変異株の検出)を行う体制を活用し、大規模なモニタリングを開始する。
 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のモニタリングの事業の概要は次の通り。
■目的:下水疫学に基づき,新型コロナウイルス感染症の流行予測について,ウイルスの定量・変異解析を実施

■期間:2021年4月15日~6月14日

■研究主体:塩野義製薬

■技術開発:北海道大学・塩野義製薬

■検体採取協力:大阪府(大阪市域は大阪市)

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