武田薬品とエムスリーは13日、エムスリーが運営する「AskDoctors」上において、遺伝性血管性浮腫(HAE)の疾患啓発サービスを開発・提供すと発表した。
エムスリーは、日本の医師の9割以上にあたる30 万人以上が登録する医療従事者専門サイト「m3.com」を運営し、製薬企業向けマーケティング支援サービスや、一般人向け医療相談サービス等を提供している。「AskDoctors」は、一般の人が健康について、インターネットで気軽に医師に相談できるQ&Aサイト。1000 人以上の現役医師が豊富な経験と専門知識を活かして迅速、的確に回答する。
HAEは、腹部、顔面、足、性器、手、喉など、身体のさまざまな場所に繰り返し浮腫発作を引き起こす希少な遺伝性疾患である。喉に発生した場合、気道がふさがって呼吸困難を起こし、窒息死する危険もある。
HAEは、世界中で5万人にひとりが罹患していると推定されている。わが国には2000人から3000人の患者が存在すると推定されているが、この疾患に対する日本での認知度の低さから診断されている患者は約450名に留まっており、未診断の患者が多くいる。
また、初めての発作が起きてから確定診断までに日本では平均13.8年かかるといわれている。米国では平均10年、欧州では平均 8.5年との報告がある。
今回、両社は「AskDoctors」上で一般の人がHAEの可能性に気づき、医師に相談できるサービスを共同で開発した。
HAEが疑われる症状を入力すると、武田薬品の疾患啓発サイト「腫れ・腹痛ナビ」に掲載されている腫れ・痛みチェックシートが表示される。チェックシートに回答することでHAE の可能性に気付くことができ、医師はチェックシートの結果も参考にした上で相談に回答できるようになる。
エムスリーは、製薬企業と共に、エムスリーグループの持つサービスを組合せ、より大きな疾患課題を解決する、7Pプロジェクトを推進している。今後も、製薬企業とも積極的に共同した医療業界への価値提供を進めていく予定である。
また、武田薬品は、治療薬の創出にとどまらず、希少疾患を取り巻くエコシステムの形成・改善を通じて、患者とその家族に価値提供できる優れたパートナーとなることが重要であると考えており、他企業とのパートナーシップを用い て、さまざまな希少疾患の患者さんの健康に貢献していく意向を示している。
同サービスは、こうした両社の思いが一致し実現したもので、武田薬品の HAE 領域に関する知見と、エムスリーが持つ患者サービス・医師プラットフォーム・高い技術力との協働による互いの強みを活かし実現した。HAEの早期診断につながることが期待される。