急激な血糖上昇と過剰な脂肪蓄積を抑えるためのWeb講演会公開  スローカロリー研究会

 糖質の”質”や”摂り方”に着目し、急激な血糖上昇、過剰な脂肪蓄積を抑える食事のスタイル“スローカロリー”の普及を目指すスローカロリー研究会(理事長 宮崎 滋)は5日、「スローカロリーと食後高血糖」をテーマとしたWeb講演会を4月21日まで公開していると発表した。
 Web講演会では、順天堂大学/スポトロジーセンターの河盛隆造氏による「”糖のながれ”を意識して、血糖値スパイクを防ぐ」は、今年生誕100周年を迎えるインスリンと糖、そしてコロナ禍をめぐる講演をプログラム。。
 さらに、早稲田大学スポーツ科学学術院の宮下政司氏の「運動とスローカロリー:血糖コントロールの重要性」では、アスリートや運動愛好家が、パフォーマンスの向上、代謝の改善や胃腸などの体調を維持する上で、血糖コントロールがいかに重要かのエビデンスを紹介している。
 また、今回の年次講演会では、「スローカロリー関連企業報告」として3社の報告も収録している。
 視聴は無料で、登録不要。今回のWeb講演会の概要や主な講演内容は次の通り。
■スローカロリー研究会第7回年次講演会(Web講演会)

●テーマ:食後高血糖とスローカロリー

●公開期間:2020年3月22日 ~4月21日

●公開場所:第7回年次講演会サイト

●主催:一般社団法人スローカロリー研究会

■プログラム

●インスリン誕生100周年記念講演

「“糖のながれ”を意識して、血糖値スパイクを防ぐ」

河盛 隆造氏(順天堂大学 名誉教授・同大学大学大学院スポートロジーセンターセンター長、トロント大学医学部生理学教授)

 今年はトロント大学でのインスリン発見から100周年にあたる。同講演は、河盛氏が、トロント大学に留学した50年前からスタートする。帰国後の数々の先駆的研究報告やスポートロジー学の創設の背景と成果の数々。河盛氏生は、最近の非肥満者のインスリン抵抗性と、若年女性のサルコペニアやフレイルの潜在的な増加を憂える。
 さらに、コロナ禍の今、食事・運動習慣を改善し自分を見つめ直すこと、それとともに人を思いやることの大切さを訴えている。インスリンと糖をめぐる半世紀に及ぶ先生のライフワークの講演でもある。

●「運動とスローカロリー:血糖コントロールの重要性」

宮下 政司氏(早稲田大学 スポーツ科学学術院 運動代謝学研究室 准教授)

 アスリートや運動愛好家が、パフォーマンスを向上、代謝の改善や胃腸などの体調を維持する上で、スローカロリーによる血糖コントロールがいかに重要かを解説。GI値の異なる食品摂取による、運動中の代謝、運動パフォーマンスの向上、運動後の代謝と食欲との関係の3つのテーマに関する研究のエビデンスを紹介し、運動前の低GI食品の摂取により運動時のグルコースが維持され、脂質代謝の亢進、運動パフォーマンスの向上が示唆され、運動後は、代謝や食欲の観点も考慮しながら、食事の質への留意が重要であると指摘している。

■スローカロリー関連企業報告

●「イヌリンの食後血糖値の上昇抑制について」

吉成織恵氏(DKSHジャパン株式会社)

 イヌリンは、キク科植物であるごぼうやキクイモ、チコリなどの根に存在する多糖類。昔から整腸作用について報告されてきたが、近年は食後の血糖値上昇抑制の報告も多い。講演では、イヌリンが血糖値抑制に及ぼす効果について紹介している。

●「日常生活における手軽な血糖ケア」

上原悠子氏(松谷化学工業株式会社)

 食後血糖上昇を日常生活の中で食事内容のみでコントロールすることは非常に困難である。食後血糖上昇を抑える効果があり、なおかつ日常の食事に簡単に取り入れることができる素材など、その効果と利用方法と共に紹介。

●「医療分野におけるパラチノースの活用事例」

殿内秀和 氏 (株式会社明治)

 急性期や周術期、あるいは脳卒中などのために嚥下が困難な患者などに対して行われているパラチノースを配合した流動食を用いた経腸栄養管理の活用例を紹介。同講演は、講演者の都合により講演レポートとしている。

 なお、スローカロリー研究会は、糖質の”質”や”摂り方”に着目し、ゆっくりと消化・吸収できる糖質を摂ることで、急激な血糖上昇、過剰な脂肪蓄積を抑える食事のスタイル「スローカロリー」の普及、さらに、スローカロリーを実践するためには、どのような食生活が望ましいか、どのような食品を選べばよいかの研究を目的に2015年に設立された。

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