武田薬品は27日、医療系学生を対象に、炎症性腸疾患(IBD)の患者が抱える困りごとについてデジタルポスターを制作するオンラインイベントを開催した。
同社は、昨年より、IBD の好発年齢層である20代の学生を対象としたイベントを実施しており、今回が 2 回目の開催となる。
IBDは、腸を中心とする消化管粘膜に炎症が生じる疾患で、主に10代~20代で多く発症する。患者の多くは、頻回の下痢や血便、腹痛、発熱、さらには慢性疲労に悩まされながら日常生活を送り、就労においても悩みを抱えている。だが、IBDは、症状が見た目には分かりづらく、また患者がどのようなことで困っているのか周囲の人に伝わりにくい疾患だ。
そこで武田薬品は、昨年IBD患者さんが「外食で食べたかった夢の食べ物」をコンセプトに学生と共にIBD患者向けレシピを作成し、今年は、働く患者さんの困りごとを「見える化」するデジタルポスターを制作した。
イベントは、IFMSA-Japan(国際医学生連盟 日本)、APS-Japan(一般社団法人日本薬学生連盟)との共催で行われ、同連盟に所属する15名の学生が、IBD 患者の日常を疑似体験できる「In Their Shoes プログラム」を経験するとともに、IBD患者による講演(おうち診療所 目黒 石井洋介氏)およびトークセッション(石井氏/イラストレーター カメダ氏/コピーライター永田健人氏)を聴講した。
患者への理解を深めた上で、「働くIBD 患者さんの困りごと」をテーマに、会議・食事・移動・働き方の4場面でのキャッチコピーを考えた。キャッチコピーを盛り込んだデジタルポスターは、5 月19 日の世界IBD デーに武田薬品疾患啓発サイトを通じて公表を予定している。
参加した学生からは、「IBD 患者にとってより良い社会を築くためには、まずはIBDを知ることが最も重要と感じた」「座学で得る知識だけでなく、実際の患者さんの声を聞くことが大切だと感じた。今後イベントで得た知見を周囲に伝えていきたい」といったコメントが寄せられた。
武田薬品では、今後もIBD患者が直面している課題を発信し、患者やその家族を取り巻く環境をより良くするための活動に取り組んでいく。