武田薬品は4日、米国Ovid社と、武田薬品が発達性およびてんかん性脳症治療薬として開発中の臨床段階にあるsoticlestat(TAK 935/OV935)について、グローバルでの開発および販売権をOvid社から獲得する独占契約を締結したと発表した。
Ovid社は、希少神経疾患患者の生活に大きな 変化をもたらす治療薬の開発を行うバイオ医薬品企業。 武田薬品の湘南研究所で発見されたsoticlestatは、強力で選択性の高い、ファースト・イン・クラスのコレステロール24ヒドロキシラーゼ(CH24H)阻害剤で、ドラベ症候群(DS)またはレノックス・ガストー症候群(LGS)を含む発達性およびてんかん性脳症を対象疾患として開発されているもの。
2017年に締結された両社間の共同開発・販売契約に関する提携により、武田薬品はOvid社の株式を取得し、P3相試験の開始を含む申請・承認等に関するマイルストンに対して最大8500万米ドルを受領する権利を有していた。
Ovid社は、希少小児てんかん領域における概念実証を成功裏に行ない、グローバル規模でsoticlestatの開発を主導してきた。今回の独占契約に基づき、soticlestatのグローバルでの権利を武田薬品が獲得し、今後の全世界での開発と販売を単独で担うことになる。Ovid社はマイルストン支払いや将来の開発・販売費用を含め、武田薬品に対していかなる金銭的義務も負わない。
Ovid 社は契約時に1億9600万米ドルの一時金を受領し、開発、承認、発売等の各マイルストン達成時に最大6億6000万米ドルを受領する権利を有する。
さらにOvid社は、soticlestat が承認・上市された場合、販売額に応じた二桁台前半から最大20%の段階的なロイヤリティを受領することになる。
今回の新たな契約は、ハート・スコット・ロディノ法(米国独占禁止法)に基づく該当する規制当局による承認を含め、一定のクロージング条件を満たすことを前提に、2021年3月末までにクローズする見込み。
武田薬品と Ovid社は 2020年8月に臨床P2相 ELEKTRA試験結果を報告済み。試験においてSoticlestatが、主要評価項目である発作頻度減少を達成しており、2021年4月~6月の間にDS およびLGS の小児・若年成人患者を対象としたP3相試験を開始する予定だ。
Andy Plump武田薬品President of Research and Development(M.D., Ph.D.)は、「両社の協働により、P2相LEKTRA試験で良好なデータが得られ、その結果、soticlestatは2つのピボタル試験に進む準備ができた」と説明。さらに、「この提携は、当社のパートナーシップモデルの強みと、神経疾患の患者に革新的な医薬品を提供するという武田薬品コミットメントを示すものである」とコメントしている。
Ovid 社Chairman and Chief Executive OfficerのJeremy Levin, DPhil, MB, BChir氏 は、「当社は、武田薬品と協働して準備を進め、プログラムを最適化し、加速させてきた。soticlestatのピボタル試験が完了するまでの今後数年間に必要となる相当な資金を自身で投じる義務はなく、試験が成功すれば、世界市場への参入につながる」と明言。
その上で、「本契約によってもたらされる資 金により、当社は戦略的にも経済的にも、未来に向けて好位置につくことができる。当社のパイプラインを推進・強化し、脳の希少疾患領域におけるリーディングカンパニーを目指して行きたい」と抱負を述べている。