ツムラは、3月8日の国際女性デーに先駆け、20代〜50代の女性1万人を対象に、不調なのに我慢して家事や仕事を行う「隠れ我慢」の実態調査結果を発表した。心理カウンセラーの下園壮太氏と共同開発した「隠れ我慢」を自己診断できる「隠れ我慢チェッカー」も一般公開している。
調査概要は、実施時期:本年1月16日~18日、調査手法:インターネット調査、調査対象:①全国の20代〜50代女性1万人(人口構成比に基づく)②心身の不調があっても、いつも通り家事や仕事を行っている20代〜50代女性1000人(年代別に250人ずつ)。
調査結果では、女性の約8割が「隠れ我慢」をしていることが判明した。また、我慢を続けたことで6割が体調を悪化させているのに、医師への診察どころか親しい友人にも伝えない実態も明らかになった。
3月8日は「国際女性デー」。ツムラは、これまで女性の心身のさまざまな症状に寄り添ってきたなかで、不調を抱えながらも我慢しながら仕事や家事、育児に頑張る女性が多くいると感じていた。
女性は、疲れや生理痛、イライラ感、不安感、言葉にしにくい不調があるのに、無理に我慢していつも通り家事や仕事を行っている「隠れ我慢」が少なくないようだ。
そこで、女性の「隠れ我慢」における実態を探った。
女性の我慢は日常茶飯事
日本女性の約8割が我慢して仕事や家事を
まず、20代〜50代の女性1万人を対象に、心身の不調を我慢していつも通り家事や仕事をすることがあるかと聞いた[図1]。
その結果、女性の3人に1人は「頻繁にある」(34.3%)と答え、「時々ある」(44.9%)を合わせると、女性の約8割(79.2%)が「不調を我慢して」家事や仕事を行っていることが分った。
年代別で見ると、20代(82.3%)・30代(83.7%)の若い世代の方がより我慢をしているようだ。
20代・30代女性が不調が多いのは「自分がやらなくちゃ」の頑張り過ぎのせい?
日常的に感じる疲労の種類10項目の中から、当てはまるものを選んでもらった結果、「疲れ、おっくう、だるい」(51.4%)が最も多く、女性の半数が経験している。
次いで、「ネガティブな感情を引きずることが多い」(37.1%)、「やらなければならないことが後回しになる」(35.0%)、「漠然とした不安や悲しみがある」(34.9%)は、3人に1人が経験している[図2-1]。
また、疲労の種類10項目中、経験したことのある疲労の種類は平均2.89種であるが、年代別に見ると20代が3.04種、30代が3.15種と、若い年代の方が多くなっている[図2-2]。
心理カウンセラーの下園壮太氏は、「加齢に伴い不調は生じやすくなるが、対処方法や自主裁量できる事柄も増え、疲労にもうまく対応できるようになる。一方、若いうちは“自分がやらないと!”と頑張り過ぎるため、日常的な不調をより感じやすい傾向があるようだ」と分析する。
日本女性に最も多い「隠れ我慢」は「気遣いさん」タイプ
日本女性の「隠れ我慢」タイプも判明した。最も多いのは、周囲への配慮が大きく自分の欲求や感情を否定しがちな「気遣いさんタイプ」である。
日本女性がどのような「隠れ我慢」をしているのかについて、心理カウンセラーの下園壮太氏に監修してもらい、5つの「隠れ我慢」タイプに分類した。
1万人の女性に20の質問を行い、「あてはまる」「どちらともいえない」「あてはまらない」の3段階で回答してもらい、回答結果を加重平均の積み上げで算出した(加重平均は、「あてはまる」2点、「どちらともいえない」1点、「あてはまらない」0点で平均を算出)。
その結果、日本女性に最も多い「隠れ我慢」タイプは、周囲への配慮が大きく自分の欲求や感情を否定しがちな「気遣いさんタイプ」(4.59)、次いで、感覚や感情に敏感で外からの刺激に傷つきやすい「敏感さんタイプ」(4.37)であった[図3]。
ツムラでは、これらのデータを基に、自分の「隠れ我慢」タイプが診断できるセルフチェッカーを開発し、ホームページ上で公開している(5つの「隠れ我慢」タイプと特徴(監修:下園壮太氏)。
20代〜50代の「隠れ我慢」する女性、1000人の実態
次に、疲れや生理痛、イライラ感、不安感、言葉にしにくい不調などがあるのに、我慢していつも通り家事や仕事を行っている、いわゆる「隠れ我慢」をしている20代〜50代の女性1000人を対象に調査を行った。
その結果、「隠れ我慢」する女性が感じる不調TOP3は、1位「疲れ・だるさ」、2位「冷え」、3位「イライラ感」。普段感じている不調を聞くと、1位「疲れ・だるさ」(66.0%)、2位「冷え」(48.6%)、3位「イライラ感」(46.4%)の順となった。
年代別では、20代は「肌荒れ・しみ」(59.6%)や「生理痛」(56.8%)、30代は「PMS」(53.6%)、50代は「腰痛」(43.2%)や「更年期障害」(37.2%)が高くなり、ライフステージに伴い不調の内容が変化する[図4]。
一方、「隠れ我慢」している女性が感じながらも我慢する不調は、「イライラ感」「不安感」のほか「言葉にしにくい不調」が上位にタンクされた。精神的な辛さや言葉にしにくい不調ほど、我慢しがちな傾向があると判明した。
次に、不調を感じても相談せず我慢している症状を聞いた。1位は普段感じる不調と同じ「疲れ・だるさ」であるが、2位「イライラ感」、3位「不安感」となり、「言葉にしにくい不調」も9位にランクインしている。普段感じる不調と比べて、イライラ感や不安などの心理的・精神的な症状が多くなっている[図5]。
感じる不調と我慢する不調の順位の差から、「寝つきにくい・目覚めが悪い・眠りが浅い・不眠」(感じる不調9位↗我慢する不調5位)、「言葉にしにくい不調」(感じる不調13位↗我慢する不調9位)、「不安感」(感じる不調6位↗我慢する不調3位)、「PMS」(感じる不調7位↗我慢する不調4位)、「憂うつ」(感じる不調14位↗我慢する不調11位)などが不調を感じているのに我慢しがちな症状であることが分かった。