シミックは15日、国立がん研究センターと造血器腫瘍(血液がん)を対象としたがん関連遺伝子変異情報の活用に関する共同研究契約を昨年12月22日付で締結したことを明らかにした。
国立がん研究センターが実施する「HM(Hematologic Malignancies)-SCREEN-Japan」と、血液がんを含めたがん領域での臨床開発経験を豊富に有するシミックが連携し、迅速な新薬の提供を目指す。
HM-SCREEN-Japanは、初回標準治療非適応または再発難治の血液がんにおけるがん関連遺伝子異常プロファイリングを行う多施設共同研究プロジェクトだ。
現在、がんの薬物療法において、特定の遺伝子変異をターゲットとした治療薬(分子標的薬など)の開発が急速に進む一方、個々の患者数が少ない希少疾患が多い血液がん領域では、国内での臨床開発まで至らないケースも多くみられている。
シミックは、同共同研究においてがん関連遺伝子の解析結果を活用し、HM-SCREEN-Japanと共に医師主導治験の実施計画の推進を行うなど、国内での臨床開発促進を目指す。
共同研究における主な役割は次の通り。
◆国立がん研究センター(HM-SCREEN-Japan)=研究コーディネート、プロトコールの作成、検体採取、遺伝子解析結果の評価、データベース構築など。
◆シミック=遺伝子データベース利用の促進活動など。研究実施予定期間は、本年1月1日から来年12月31日まで。
藤枝徹シミック代表取締役社長執行役員は、「現在、再発・難治例の多い血液がん領域では、新たな治療薬の創出が切望されている。さらに、個々の疾患の患者数が少ない日本において、早期に臨床開発を実現するために共同研究ネットワークによる患者集積が必要とされている」と指摘。
その上で、「本共同研究により、国内外の製薬会社、バイオベンチャー、アカデミアに加え、これまで日本で臨床開発を経験していない海外の製薬会社などへ積極的にアプローチし、日本の血液がん患者様へ新たな治療機会の提供を目指したい」と抱負を述べている。