カボテグラビル 良好なHIV感染予防効果を確認 塩野義製薬

 塩野義製薬は11日、グラクソスミスクライン、ファイザーとの合弁会社のヴィーブ社が、長期作用型注射剤カボテグラビルのHIV感染予防効果を検証するP3試験(HPTN084試験)の中間解析において、良好な予防効果を確認したと発表した。
 同試験は、HIV感染リスクが高い女性を対象に、長期作用型注射用カボテグラビル2か月毎投与時のHIV感染予防に対する有効性と安全性を、既存の予防薬であるエムトリシタビン/テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩(FTC/TDF)の1日1回経口投与時と比較したP3相臨床試験である。
 中間解析の結果、主要評価項目である試験中にHIVに感染した被験者の割合は、カボテグラビル群の0.21%(95%信頼区間:0.06-0.54%)に対し、対照薬のFTC/TDF群では1.79%(95%信頼区間:1.24-2.51%)であり、カボテグラビル群は対照薬群に対し感染リスクを89%(95%信頼区間:68-96%)軽減し、カボテグラビルの予防効果は対照薬に対し優越性を示した。
 安全性に関しては、注射部位反応についてカボテグラビル群は対照薬群と比較して発現頻度が高かったものの(カボテグラビル群:32%、プラセボが注射される対照薬群:9%)、注射部位反応あるいは注射による不耐性による中止例は両群で見られず、カボテグラビルは忍容性が高く安全性に特段の問題は見られなかった。
 同中間解析の良好な結果を受けて、データを評価したデータ安全性モニタリング委員会(DSMB)は、同試験の早期終了を勧告した。ヴィーブ社は、今後、同試験で得られたデータの詳細を関連学会で発表するとともに、同試験およびHPTN083試験のデータを当局への承認申請に使用する予定である。
 塩野義製薬は、取り組むべきマテリアリティ(重要課題)として「感染症の脅威からの解放」を特定し、HIV感染症をはじめとする三大感染症への取り組みを推進している。同社はヴィーブ社の株主として、世界中の人により良いHIV感染症の治療および予防の選択肢の提供を期待するとともに、今後もヴィーブ社の経営に参画することで、HIV感染症治療や予防におけるドルテグラビルおよびカボテグラビルの価値最大化を目指す。
 なお、同件が2021年3月期の業績に与える影響は軽微である。

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