武田薬品は4日、日本国内の医療用医薬品ビジネスを所管するジャパンファーマビジネスユニット（Japan Pharma Business Unit 、「JPBU」）および日本オンコロジー事業部の事業運営体制を1日付けで再編し、新体制へ移行したと発表した。
同社は、アンメット・メディカル・ニーズの高い領域への貢献を高めており、主要な5つのビジネスエリア（消化器系疾患、希少疾患、血漿分画製剤、オンコロジー、ニューロサイエンス）にさらに注力していく。
JPBU においては、消化器系疾患領域をGIスペシャルティ BU（GISBU）が、希少疾患領域をレアディジーズBU（RDBU）が、さらにニューロサイエンス領域をジャパンリージョナル&ニューロサイエンス BU（JRNS）が担当するビジネスユニット制を構築。
各領域におけるＭＲの専門性を高めることで、ターゲットを絞った革新性の高い医薬品を届ける体制を確立する。オンコロジー領域については、グローバルオンコロジービジネスユニットの日本における代表部門である日本オンコロジー事業部ががん治療薬を必要とする患者のための情報提供活動を担う。
血漿分画製剤は、同社子会社である日本製薬が情報提供活動を担う。
今回の新組織体制では、各領域の医療関係者に応じた情報をタイムリーに提供できる体制（領域軸）かつ、各地域における医療ニーズへの貢献を高めるための最適な組織体制（地域軸）を重視した。領域軸においては、消化器系疾患領域を担当するGISBUが、今後の新製品も含めて炎症性腸疾患に関連した情報をトータルで提供する。
希少疾患領域を担当するRDBU は、希少血液疾患・希少免疫疾患・希少代謝疾患の3つを重点疾患分野とする。欧米諸国に比べ確定診断に時間を要している現状など、ステークホルダーが相互に連携しながら患者を取り巻く社会環境を改善するエコシステムの創造を目指す。このため、希少疾患における早期診断の加速化をサポートする活動を展開するチームを増強した。
日本オンコロジー事業部では、がん患者のアンメットニーズに応える複数の革新的な新製品の速やかな上市による事業成長に注力していく。腎がん・卵巣がん・肺がんフランチャイズ（製品群）の成長に注力するとともに、セルセラピーなどの新たな治療モダリティに対応するための機能の構築とそれを担うスペシャリストの育成に取り組みむ。
JRNSでは領域軸として、ニューロサイエンス領域の体制を17グループから50 グループ体制に大幅に拡充する。加えて、製品を限定して 100％リモートで情報活動を実施する。
具体的には、専任チームを新設し、デジタル技術を活用してスピーディかつ生産性の高い情報活動を行う。地域軸を担うJRNSでは全国を10の地域に分け、地域医療のニーズをきめ細かく把握し、医療環境の変化に俊敏に対応できるよう地域に根差した活動を展開する。
武田薬品、常に変化する事業環境を見極め、リアルとデジタルを融合させたベストミックスにより、ステークホルダーのニーズに応じたきめ細かい、かつ効率的で生産性の高い情報提供活動を目指す。新体制ではこれまで整備してきた情報インフラをベースに、さらに一段上のフェーズへと取り組みを指針。
デジタル技術の活用をボトムアップで推進するため、全国で200 人を超える「デジタルリード」を任命し、活動をスタートさせた。デジタルリードは MR業務と並行し、既存データの分析や最新のデジタル技術に関する知識を活用した付加価値の高い情報活動をリードするとともに、集積された事例や新たなアイデアを体系化し、デジタル技術を活用した最適な情報提供活動のあり方を確立する。
岩﨑真人武田薬品取締役JPBUプレジデントは、「当社は 5つの主要ビジネスエリアで、2020年度から今後5年間で31の承認を目指している。今回の体制の刷新によりターゲットを絞った革新性の高い医薬品を届けるための体制が整い、5 つのビジネスエリアへの注力をさらに加速していく」と強調。
さらに、「デジタル技術の活用とリアルの活動の利点を生かした活動を適切に使い分け、効率的かつ生産性の高い組織運営で、患者さんへの貢献を高めていく」と抱負を述べている。
