独自のiPS細胞ユニバーサルドナーセル臨床株完成 ヘリオス

 ヘリオスは20日、遺伝子編集技術を用いてHLA型に関わりなく免疫拒絶のリスクを低減する臨床グレードの次世代iPS細胞「ユニバーサルドナーセル(UDC)」の作製を完成したと発表した。
 同社は、本年6月3日の告知通り、ヘリオス独自のUDCの研究株を完成しており、今回、日米欧を含む国内外でのヒトへの臨床応用も可能なレベル(臨床グレード)の細胞株作製にも成功。今後は、臨床応用に向け準備を進めていく。
 UDCは、免疫拒絶反応を抑えた他家iPS細胞で、眼科領域、次世代がん免疫細胞、臓器原基等への活用を目指している。
 通常、移植細胞は患者とのHLA型を一致させない場合には、免疫拒絶反応を起こす。そのため、移植時には免疫抑制剤投与が必要となるが、患者の負担も大きくなる。免疫抑制剤の投与回避には、自らの細胞から作製する自家iPS細胞の使用が望ましいが、この作製には多くの時間と多額の費用が必要となる。
 UDCは、遺伝子編集技術を用い、免疫拒絶反応の抑制を可能にするiPS細胞で、ヘリオスのUDCは、他家iPS細胞から拒絶反応を引き起こすHLA遺伝子を除去し、その細胞に免疫抑制関連遺伝子、および安全装置としての自殺遺伝子を導入した安全な細胞医薬品の原材料となる細胞である。
 iPS細胞本来の特長である無限の自己複製能力や、様々な細胞に分化する多能性を維持しながら、免疫拒絶を抑え安全性を高めた再生医薬製品創出のための次世代技術プラットフォームである。
 ヘリオスは、UDCを用いた再生医療等製品の自社開発の推進および研究機関等との連携を模索しながら、さらなるパイプラインの充実を図っていく。なお、同件に関しての業績への影響は、今後開示すべき事項が発生し次第速やかに公表する。

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