塩野義製薬は29日、新規のシデロフォアセファロスポリン抗菌薬「フェトロージャ」について、FDAより院内肺炎の適応追加承認を取得したと発表した。適応疾患は、18歳以上の患者における、グラム陰性菌による院内肺炎(院内細菌性肺炎および人工呼吸器関連肺炎)治療。
今回の適応追加は、院内肺炎を対象としたP3I相臨床試験([APEKS-NP)の良好な結果に基づくもの。
フェトロージャは、新規シデロフォアセファロスポリン抗菌薬で、「18歳以上の患者における、グラム陰性菌による腎盂炎を含む複雑尿路感染症治療」を適応に米国で承認されており、塩野義製薬米国子会社のシオノギインクが販売している。
院内肺炎は、最も重要な院内感染症のひとつであり、中でも薬剤耐性のグラム陰性菌によって引き起こされる感染症に対する治療薬は限られているため、患者にとって致命的な脅威となる。
フェトロージャは、WHOにより最優先の対応が必要であると考えられているカルバペネム系抗菌薬に耐性を示すアシネトバクター・バウマニ、緑膿菌および腸内細菌目細菌に有効性を示す唯一の薬剤で、今回の適応追加承認により、グラム陰性菌が引き起こす院内肺炎の新たな治療選択肢として期待されている。
なお、同件が2021年3月期連結業績に与える影響は軽微である。