イミフィンジ 国内で進展型小細胞肺がんの適応追加取得  アストラゼネカ

 アストラゼネカは21日、イミフィンジについて、エトポシドおよびカルボプラチンまたはシスプラチンとの併用療法で、進展型小細胞肺癌(ES-SCLC)を適応症に、同日、国内承認を取得したと発表した。
 小細胞肺がん(SCLC)は、一般的には化学療法で奏効が認められたとしても再発し、急速に進行する、悪性度が高く増殖の速いがんである。イミフィンジに対する今回の承認は、イミフィンジと化学療法との併用療法が、化学療法単独との比較において、統計学的に有意で臨床的に意義のある全生存期間(OS)の延長を示したP3相CASPIAN試験の良好な結果に基づくもの。なお、同試験結果は2019年のLancet 誌に掲載されている。
 P3相CASPIAN試験の治験担当医師であり、がん研有明病院呼吸器センター長および呼吸器内科部長である西尾誠人氏は、「日本の進展型小細胞肺がん治療において、約20年間、有意に全生存期間を延長するような治療の進歩はなかったと指摘。その上で、「今回、化学療法にイミフィンジを上乗せにより有意に全生存期間の延長が示されたことで、新たに進展型小細胞肺がんがイミフィンジの適応に追加され、進展型小細胞肺がんの一次治療の選択肢を日本の患者に提供できるようになった」とコメントした。
 忍容性についても「良好で、患者の状態に応じてイミフィンジとカルボプラチンまたはシスプラチンとを併用できる新たな機会を得ることができる」と述べている。
 CASPIAN試験において、2019年6月、イミフィンジと化学療法との併用療法が、化学療法単独との比較で主要評価項目であるOSの延長を示し、死亡リスクを27%低下させた(ハザード比0.73;95%信頼区間0.59-0.91;p値0.0047)。OS中央値は化学療法単独群の10.3ヵ月に対し、イミフィンジと化学療法との併用療法群では13.0ヵ月であった。
 また、イミフィンジと化学療法との併用療法群では、客観的奏効率(Confirmed)の増加(化学療法単独群58%に対して、イミフィンジと化学療法との併用療法群68%)が示され、化学療法にイミフィンジの追加により、肺がん関連の症状が悪化するまでの期間が延長することが示された。
 最新の解析データ ( https://www.astrazeneca.co.jp/content/az-jp/media/press-releases1/2020/2020060802.html ) では、追跡期間中央値が2年を超えた時点でも、イミフィンジと化学療法との併用療法による持続的な有効性が示され(OSハザード比:0.75;95%信頼区間 0.62 -0.91;p値 0.0032(名目上))、OS中央値は化学療法単独群の10.5ヵ月に対し、イミフィンジと化学療法との併用療法群では12.9ヵ月であった。
 イミフィンジと化学療法との併用療法の安全性および忍容性は、これらの医薬品の既知の安全性プロファイルと一致していた。また、イミフィンジの投与に関連したイミフィンジに対する抗薬物抗体が陽性の患者さんは認められなかった。
 CASPIAN試験における日本人患者の有効性および安全性データは、事前に設定された解析において全体集団の結果と同様であることが確認された。CASPIAN試験においては、化学療法との併用療法として、固定用量のイミフィンジ(1500mg)を3週間間隔で4回を投与し、その後病勢進行するまで4週間間隔で投与した。
 イミフィンジとエトポシドおよびカルボプラチンまたはシスプラチンとの併用療法は、一次治療でのES-SCLCの治療薬として、米国および世界中の数カ国で承認されており、現在その他数か国でも薬事承認審査中である。また、同適応において、先日、EUで承認勧告を取得している。
 広範な開発プログラムの一環として、イミフィンジは、同時化学放射線療法後の限局型SCLC患者を対象としたP3相ADRIATIC試験も進行中である。

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