新型コロナ治療薬臨床試験に第1 例目の患者を登録 武田などCOVID R&D Allianceメンバーら

 武田薬品は4日、COVID R&D Alliance のメンバーである武田薬品、アッヴィおよびアムジェンが、I-SPY COVID to Predict 臨床試験に第1例目の患者を登録したと発表した。
 武田薬品、アッヴィおよびアムジェンがメンバーであるCOVID R&D Alliance は、COVID-19およびその関連症状に対する治療薬や新規抗体医薬品、抗ウイルス薬の開発を加速する目的で設立された協力体制で、世界トップのバイオ医薬品企業とライフサイエンス企業20社以上が参画している。
 I-SPY COVID 試験は、高流量酸素療法を必要とする新型コロナウイルスに感染した重症入院患者を対象に、CCケモカイン受容体2および5拮抗薬のcenicriviroc、PDE4 阻害薬のオテズラ、ブラジキニンB2受容体拮抗薬のフィラジル(イカチバント皮下注)の有効性の評価を行うもの。
 I-SPY COVID 試験は、治療薬候補の評価に要する被験者数と期間を最小限に留めることにより試験効率性を向上する目的で設計された、Quantum Leap Healthcare Collaborative(QLHC)のアダプティブ・プラットフォーム臨床試験デザインを活用している。今後数週間以内に、COVID R&D のメンバー企業は、同試験にさらなる候補薬を追加する。
 デューク大学のマーゴリス医療政策センターの創設ディレクターで、米国食品医薬品局(FDA)長官およびメ ディケア・メディケイド・サービスセンター行政官を歴任したマーク・マクレラン氏は、「アダプティブ・プラットフォーム試験を活用した共同研究により、患者に何が効くのかをより迅速にまたより完全な形で学ぶことができる。COVID-19 のような公衆衛生上の喫緊の脅威に立ち向かうには、このような取り組みが特に重要となる」と指摘。
 さらに、「プラットフォーム試験では、特に複数の治療薬候補の迅速な評価が必要な場合に、費用を抑えながらも 高い検出力を確保した質の高い研究をより容易に行うことができる」と説明した。
 薬事審査の際に求められる安全性と統計の厳密さを維持しながら有望な治療薬を複数評価するために、タイムリーで効率的なプラットフォーム試験戦略を展開するI-SPY COVID 試験は、COVID R&D Alliance のメンバー企業とQuantum Leap、FDAの連携の下で実施されている。
 なお、COVID R&D Alliance は、複数のプラットフォーム試験の設計と後援を行うほか、次の施策も実施しています:
•前臨床段階にある 1900 品目以上の候補物質について実薬対照試験を行い、COVID-19治療薬として最も有望な物質の特定を行っている。
•COVID-19に対する効果が期待できる、有望な早期開発品を検討して、資金提供者となりうるベンチャーキャピタルや研究開発型製薬企業との橋渡しを行い、開発を迅速化する。
•TransCelerate社のDataCelerateプラットフォームと連携し、リアルタイムでのデータ共有と実臨床下でのエビデンスの構築を進め、実施中あるいは実施予定の COVID-19 試験への情報提供を行うことにより、研究者のコミュニティーが試験結果から学び、重複を避けられるようにしている。
•政府や規制当局、非政府組織(NGO)との橋渡し役となり、知見を共有し、他のプラットフォーム試験への取り組み。

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