大日本住友製薬は7日、米国子会社のサノビオン社が双極Ⅰ型障害うつの経口治療剤として開発中のSEP-4199について、国際共同P2試験(SEP380-201)で同疾患の治療を向上させる可能性が示唆されたと発表した。
同剤は、ドパミンD2受容体に比べセロトニン5-HT7受容体に対する作用を高めたアミスルプリド鏡像異性体の非ラセミ混合物である。
SEP380-201試験は、双極Ⅰ型障害うつ患者を対象とした多施設共同、ランダム化、二重盲検、プラセボ対照比 較国際共同P2試験。同試験の結果、主要評価項目である米国および欧州の患者における投与6週後のMontgomery-Åsberg Depression Rating Scale (MADRS)合計スコア変化量は、プラセボ投与群に対し、改善傾向を示した(200mg/日投与群:-19.5 vsプラセボ投与群:-16.2、effect size(ES)=-0.31、調整済みp=0.054、400mg/日投与群:-19.3 vsプラセボ投与群:-16.2、ES =-0.29、調整済みp=0.054)。
同剤投与群は主要評価項目において統計学的に有意な改善を示さなかったが、同試験ではプラセボ投与群で比較的大きな改善が観察され、主要評価項目の結果に影響を及ぼした可能性がある。
同試験は、探索的に日本人の有効性と安全性を検討するコホートを含めており、日本人を加えた集団(337名)での探索的な解析を事前規定していた。
その解析の結果、投与6週後のMADRS合計スコアのベースラインからの変化量は、それぞれ-18.0(200mg/日投与群)、-17.7(400mg/日投与群)、-14.3(プラセボ投与群)であり、本剤投与群とプラセボ投与群との差は、200mg/日投与群が-3.7(未調整p<0.025、ES =-0.34)、400mg/日投与群が-3.4(未調整p<0.025、ES =-0.31)であった。これらの結果から、同剤の両投与群は、臨床的に意味のある改善が示された。
SEP380-201試験において、同剤は良好な忍容性を示し、有害事象は比較的低い発現頻度であった。主な有害事象(本剤投与群で2 以上に発現しプラセボ投与群より頻度が高かった有害事象)は、QT延長(400mg/日のみ)、傾眠、便秘、乳汁分泌、吐き気、アカシジア、めまい、軽躁および下痢である。重篤な有害事象は2例(本剤1例、プラセボ1例)報告された。
マサチューセッツ総合病院Chief of the Department of Psychiatryのマウリジオ・ファーヴァ医師は、「双極Ⅰ型障害うつは治療が困難で、新たな治療選択肢が強く求められている」と指摘。その上で、「本試験では、プラセボ効果のために主要評価項目において統計学的に有意な改善を示さなかったが、本試験結果は、本剤が双極性障害うつ患者の治療を向上の可能性を示唆している」とコメントしている。
サノビオン社Chief Scientific Officerのケネス・コブラン氏も「本試験で示された忍容性と有効性により、本剤が双極性障害うつの患者の新たな治療選択肢になりうると考えている」と明言。さらに、「本試験の結果を受けて、P3試験の開始に向けて検討していく。今後の学会において、本試験の全てのデータを発表し、その内容について先生方と議論することを楽しみにしている」と述べている。